熊谷俊人千葉市長とツイッターユーザーとのやりとりをきっかけに、「家庭ごみ」の開封調査が注目を集めている。
ごみ出しルールの徹底につながるメリットがある反面、市民や専門家からはプライバシーが侵害される可能性を懸念する声がある。
開封調査、導入する自治体が増えている
開封調査は、分別や排出ルールが守られていない家庭ごみの中を調べて違反者を特定し、直接指導するために行われるもの。ごみ減量やリサイクル推進の一環として、横浜市や札幌市などをはじめ導入する自治体が増えてきている。
話題になっている千葉市では、2011年4月から開封調査を行っている。「家庭ごみ手数料徴収制度」がスタートした2014年2月以降は調査業務を民間にも委託するなどして態勢を強化している。回収した違反ごみは環境事業所で開封し、内容物から出した人物が特定できた場合は市職員が指導に赴く。累計4回の違反で過料2000円の罰則もある。
一部自治体ではごみ袋に名前を書くところもあるようだが、基本的な運用は他の自治体でもおおかた違いはない。
ルール違反者を直接注意できるメリットがあるものの、一方で気になるのがプライバシーの問題だ。家庭ごみには氏名や住所が記されたものだけでなく、さまざま個人情報が含まれている。そうしたごみの中身を詳しく点検することは、公権力によるプライバシーの侵害にあたる可能性があるとの指摘は以前からなされているところだ。
千葉市の開封調査が注目を集めたのも、あるツイッターユーザーがプライバシー権に関わる疑問を熊谷市長に投げかけたためだ。この人物は2014年10月16日にツイッター上で行われた「対話会」で、
「プライバシー権の侵害ではないか?との報道に対して千葉市議会で何か動きは無かったのですか?法的にこれは何も問題はないのだ。という確固たる法的根拠等お持ちなのですか?」
と質問した。
これに熊谷市長は、
「逆に問題となる具体的な法的根拠を教えて下さい。報道を見ても否定派の識者が憲法を持ち出して情念的に疑問を呈しているだけに感じますが」
と返答した。