日本シリーズが楽しみになってきた 阪神アッパレ、巨人に奇跡の4連勝

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   阪神が巨人に4連勝して日本シリーズに進出した戦いは、今年のプロ野球トップ級のニュースだろう。

   勝負はゲタを履くまで分からない、という言葉が生きていることを証明した出来事だった。

どちらが「奇跡」?

   クライマックス最終シリーズ(CS)で阪神がセ・リーグ代表として日本シリーズ進出を決めたのは2014年10月18日のことである。リーグ優勝の巨人になんと4連勝。

   「奇跡」の結果については二通りの見方がある。阪神の奇跡の4連勝なのか、巨人の奇跡の4連敗なのか、と。

「選手はよく頑張ってくれた。東京ドームでの巨人戦は、思い切ってやれ、と選手に言ったが、その通りやってくれた」

とは阪神・和田監督である。敗れた巨人の原監督は敗因をこう語った。

「死力を尽くして戦った。しかし、力及ばず、こんな結果に終わった。投打のバランスが最後までかみ合わなかった」

   戦前の予想では、専門家の多くは「巨人有利」。その根拠は、ペナントレースでの対戦成績は巨人の13勝11敗。それも15回戦から最後戦までの10試合は巨人の8勝2敗。さらに、阪神はCS第1ステージで広島と2試合を行い、20イニングで1点しか挙げていない(広島は21イニングで0点)。しかも巨人にアドバンテージ1勝がある。

   それから思えば、この結果は「奇跡の阪神」とするのが正しいだろう。

もともと「打」が強く、「投」も好調

   なぜ、阪神が完勝したのか。

   まず打線。評論家たちの指摘は「鳥谷、ゴメス、マートンのクリーンアップトリオが今シーズン初めて揃って絶好調だった。それがCSで出た。加えて6番の福留も好調だった」との見方だ。

   確かにその通りだった。広島戦での貧打がウソのように打ちまくった。しかし、ペナントレースでは鳥谷は172安打の3割1分3厘、ゴメスは109打点でタイトルを取り、マートンは180安打の3割3分8厘で首位打者。福留はかつて2度も首位打者を手にしている。

   対する巨人は優勝したものの3割打者なし。冷静に振り返れば、阪神の打力は巨人を圧倒していたのだ。

   投手陣はどうだったか。阪神は広島戦でだれも失点無し。これは自信になっただろうし、和田監督の勝利への大きな期待と希望になったはずである。巨人はエースの菅野が故障で使えず、勝てる計算が立たなくなってしまった。

   阪神が勝つと、球界は盛り上がる。巨人に勝った日に、ファンが大阪の繁華街である道頓堀に集まり、歓声を上げ、予想通り道頓堀川に飛び込んだ。こういうノリは東京にはない。阪神は独自の味がある。

   日本シリーズへの興味、関心は阪神の進出によって大いに高まった。しかし、勝負はやってみなければ分からないことを改めて痛感させた。とりあえず阪神に「アッパレ!!」――。シリーズ本番を楽しみにする野球ファンも増えたのではないか。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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