日本人アスリートはもっと英語話せ 寂しいね「ノーイングリッシュ、ソーリー」

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   世界を舞台に日本人アスリートの活躍が目覚ましい。米大リーグや欧州サッカーリーグでは、もはや欠かせない存在だろう。

   だが、海外での活動やチームメートとの意思疎通で必要な英語などの語学力は、選手によってかなりの差があるようだ。今の時代、通訳に頼りっきりは許されなくなってきているのだが。

ファンや監督、チームメートに「自分の言葉」で語るべき

   テニスの錦織圭選手が全米オープンで快進撃を見せ、現地メディアの取材に堂々と英語で応じる姿を見た人は多いだろう。サッカーイタリア1部の名門、ACミランへの移籍会見で、本田圭佑選手はすべて英語で通した。一方で、長年海外でプレーしながら英語で会話しているシーンをほとんど見かけないアスリートに対して、「本当に英語を話せるんだろうか」と疑問が出ることもある。

   サッカーライターの清水英斗氏は、2014年10月15日付のブログで興味深い意見を書いている。14日にシンガポールで行われたサッカー国際親善試合、日本対ブラジル戦後、シンガポール人記者が「なぜ、日本の選手は英語でインタビューに答えないんだ」と疑問を発したという。英語で応じたのは2人だけで、「ノーイングリッシュ、ソーリー」と断った選手もいたそうだ。

   自信がない、間違って伝わったら困るとの考え方はあるだろうと理解する一方、スタジアムで日本代表に声援を送ってくれたファンに感謝するのであれば「現地メディアを通して自分の言葉で伝えるべきではないだろうか」と提言する。自分がやらなくても、英語を話せる別の選手がやってくれるという意識でいいのか、との指摘だ。

   ファンに向けてのみならず、監督やコーチ、チームスポーツなら同僚に対しても「自分の言葉で話す」点も重要だろう。スポーツ雑誌「スポルティーバ」電子版2012年5月12日付の記事では、日本人大リーガーを例に挙げた。筆者の笹田幸嗣氏は、常に通訳を付けている選手について首脳陣から「通訳を通しているから、アイツの考えている真意がわからない」という言葉を耳にするという。一方で選手は、「自分の英語力では真意が伝えられない。だから通訳は必要です」と主張、両者の考え方のずれを示している。そのうえで「日本人メジャーリーガーが苦しむ大きな要因がここにあるのではないだろうか」と疑問を投げかけた。自分の力で必死に気持ちを伝えるのが大切というわけだ。

藍ちゃん、室伏は「ペラペラ」、マー君は?

   各種競技で世界的に活躍している現役アスリートの語学力はさまざまだ。

   サッカーでは本田選手のほか、ベルギーでプレーする川島永嗣選手もそつなく英会話をこなす。英語ではないが、長友佑都選手はイタリア語を流暢に操る。女子ゴルフの宮里藍選手、男子ハンマー投げの室伏広治選手はいわゆる「英語ペラペラ」と言っていい。男子ゴルフの石川遼選手や男子フィギュアの羽生結弦選手も、多少ぎこちないがインタビューの受け答えやコーチとのやり取りは問題なくこなせる英語力を持っている。女子卓球の福原愛選手はネイティブなみの中国語力で中国でも人気だ。語学が達者でないから一流選手になれないわけではないが、少なくともこれらの選手は海外で活動を続けていたり、結果を残したりしている。

   これに対して日本人大リーガーが英語でインタビューに答えている姿はあまり目にしない印象だ。2001年からプレーするイチロー選手ですら、通訳を伴って日本語で話すのが基本。ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手やテキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手も、会見は日本語だ。

   元大リーガーの吉井理人氏は、2014年1月18日付「日刊ゲンダイ」でこう説明をしている。試合中に監督から細かい指示が出ることはほとんどなく、バッテリーもサインを覚えておけば問題ない。だから英語が苦手でもあまり困らなかった、と。ただしロッカールームでは、同僚との付き合いに英語は必須だった。吉井氏も最初はちゅうちょしたが、開き直って積極的にチームメートに話しかけたという。おかげで実績のある選手から多くを学べたそうだ。

   通訳に頼らず懸命に英語を話す姿勢が人気を呼んだのが、トロント・ブルージェイズの川崎宗則選手。たどたどしくても積極的にメディアに出てブロークンイングリッシュでまくしたて、「へんてこキャラ」を演じながらも全力プレーでアピールした結果、現地ではすっかり「愛されキャラ」の地位を確立した。

   日本でも、外国人選手が日本語でファンに語りかければ、多少言葉使いが間違っていても誰も気にせず、むしろ親近感を持つだろう。日本では「至宝」とされる名選手が、ちょっと照れながらも必死に言葉を探しながら英語で語りかければ、ファンのみならずチームメートやコーチのハートもがっちりつかめるのではないか。

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