藍ちゃん、室伏は「ペラペラ」、マー君は?
各種競技で世界的に活躍している現役アスリートの語学力はさまざまだ。
サッカーでは本田選手のほか、ベルギーでプレーする川島永嗣選手もそつなく英会話をこなす。英語ではないが、長友佑都選手はイタリア語を流暢に操る。女子ゴルフの宮里藍選手、男子ハンマー投げの室伏広治選手はいわゆる「英語ペラペラ」と言っていい。男子ゴルフの石川遼選手や男子フィギュアの羽生結弦選手も、多少ぎこちないがインタビューの受け答えやコーチとのやり取りは問題なくこなせる英語力を持っている。女子卓球の福原愛選手はネイティブなみの中国語力で中国でも人気だ。語学が達者でないから一流選手になれないわけではないが、少なくともこれらの選手は海外で活動を続けていたり、結果を残したりしている。
これに対して日本人大リーガーが英語でインタビューに答えている姿はあまり目にしない印象だ。2001年からプレーするイチロー選手ですら、通訳を伴って日本語で話すのが基本。ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手やテキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手も、会見は日本語だ。
元大リーガーの吉井理人氏は、2014年1月18日付「日刊ゲンダイ」でこう説明をしている。試合中に監督から細かい指示が出ることはほとんどなく、バッテリーもサインを覚えておけば問題ない。だから英語が苦手でもあまり困らなかった、と。ただしロッカールームでは、同僚との付き合いに英語は必須だった。吉井氏も最初はちゅうちょしたが、開き直って積極的にチームメートに話しかけたという。おかげで実績のある選手から多くを学べたそうだ。
通訳に頼らず懸命に英語を話す姿勢が人気を呼んだのが、トロント・ブルージェイズの川崎宗則選手。たどたどしくても積極的にメディアに出てブロークンイングリッシュでまくしたて、「へんてこキャラ」を演じながらも全力プレーでアピールした結果、現地ではすっかり「愛されキャラ」の地位を確立した。
日本でも、外国人選手が日本語でファンに語りかければ、多少言葉使いが間違っていても誰も気にせず、むしろ親近感を持つだろう。日本では「至宝」とされる名選手が、ちょっと照れながらも必死に言葉を探しながら英語で語りかければ、ファンのみならずチームメートやコーチのハートもがっちりつかめるのではないか。