2016年度からの電力小売り全面自由化をにらみ、関西、中部、中国、九州の大手電力4社が国内最大の需要地である首都圏で発電所建設などの攻勢をかけている。
大阪ガスのような都市ガス各社も加わる見込みで、エネルギー企業による首都圏の電力販売競争が激しくなりそうだ。
国内電力需要の3分の1を占める首都圏市場
国内の電力供給は、北海道から沖縄県までを10地域に分け、それぞれに立地する電力会社1社がほぼ独占的に担っている。2000年以降、政府が段階的に進めた規制緩和で、工場など大口需要家には「新電力」と呼ばれる商社など新規参入組の小売り事業者が、電力を供給している。ただ、小売りが自由化された分野で新電力のシェアは5~6%程度にとどまっており、「地域独占」は揺らいでいない。
こうした状況を変える可能性があるのが、2016年度からの電力小売りの全面自由化だ。一般家庭も含むすべての需要家が電力会社を選べるようになる。東電以外の大手電力会社からすれば、国内電力需要の3分の1を占める首都圏市場は魅力的で、できるだけ早く参入する構えだ。
関電は伊藤忠商事と組んで、宮城県に石炭火力発電所を建設する方針だ。関電にとって初めて自社エリア外向けの電力供給拠点を設けることになる。伊藤忠の子会社で新電力の「伊藤忠エネクス」と関電子会社が折半出資で新会社を設立。仙台港近くに発電所を建設し、2017年中の稼働を目指す。出力は11万キロワットで、総工費は約300億円。
関電は既に2014年4月から首都圏でオフィスビルなどに電力小売りを始めている。顧客の信頼を得る安定供給を確保するため、自前の発電所建設所に踏み切ることにした。