欧米人の女性らが過激派組織「イスラム国」の戦闘員らと結婚するために、次々に入国していると報じられている。今のところ日本人の情報はないが、ターゲットにされうるのだろうか。
イスラム国を巡っては、過激派としての活動歴もない北海道大学の男子学生(26)が渡航を計画していたことが発覚して、日本で大きなニュースになった。
イスラム国がSNSなどを使って巧みに勧誘
しかし、海外メディアなどの報道によると、欧米を中心に世界80か国以上からは、1万5000人以上がイスラム国入りしているともされている。活動歴がない人も多いといい、現地で訓練されて、戦闘に加わっている模様だ。うち欧米人は、3000人以上いるとされ、イギリス人とフランス人が多いという。
ヨーロッパに多いのは、イスラム人口が多く、アメリカのように厳しく取り締まれば反発を受けることがあるともされている。
女性も一定の割合でいるといい、募集した戦闘員の10~15%ほどは女性だったとの報道もあるほどだ。
ただ、女性の場合は、戦闘員と結婚するために入国しているケースも次々に報じられている。
その背景には、イスラム国がSNSなどを使ってネット上で巧みに勧誘していることがあるようだ。報道によると、オーストリア人の17歳と15歳の少女は2014年4月、シリアに渡航して、イスラム国の戦闘員と結婚した。その後は、イメージキャラとして、SNSに様々な写真を投稿し、その魅力を訴えていた。
こうした戦略が功を奏したのか、あるQ&Aサイトには、イギリス人などのティーンエイジャーを含む女性たちから、イスラム国の戦闘員への結婚の申し込み相談が相次いでいるという。
その動機としては、生活の現状に対する不満があるとみられており、刺激を求めて勧誘に乗ってしまうようだ。こうしたことは、就活の失敗がきっかけとなったとされる北大生のケースと似ている。
「日本人ターゲットの情報は入っていない」
しかし、イスラム過激派組織では、女性の社会的地位は認められておらず、家に閉じこもって厳格な規律に拘束されることになる。人権が疎んじられる状況にいつまで耐えられるかは疑問だ。
実際、前出のオーストリア人の2少女は、渡航したことを後悔し、母国にいる家族と連絡を取って、「家に帰りたい」と訴えたとも報じられている。もっとも、過激派組織がそのまま返すことはなさそうで、もし帰ったとしても母国でテロを起こす疑いもかけられている。いったん渡航してしまえば、状況は厳しい。
日本でもこうした状況が報じられると、ネット上で、「イスラムでの女の地位をシラ無すぎw」「悪いけど、自業自得でしょ」などと厳しい声が相次いだ。
一方、北大生がイスラム国の募集を見て渡航したように、日本人女性についても今後狙われる恐れがないのかと懸念する声もあった。
確かに、オーストリア人2少女のケースのように、誘いに乗るのは、移民出身でイスラムに入信したといった事情がある場合が多いらしい。しかし、今後イスラム国が日本語でPRするようになったら、北大生のように乗ってしまう女性が出てくる心配はないのか。
シリアなどを担当する外務省の中東第1課では、日本人女性をターゲットにした動きがあるかについて、「ネット情報をすべて把握するのは不可能ですが、政府としてはそうした動きは存じておりません」と取材に答えた。日本語での呼びかけも承知していないといい、今後ターゲットになる可能性についても、「分かりかねます」としている。