トレンチと建屋の接続部分の凍結が進まない
このままでは、台風や大雨に襲われるたびに高濃度の汚染水による悪影響が続くことになる。トレンチの「たまり水」は除去に向けて対策が講じられているが、順調とはとても言えない。
東電では、建屋とトレンチの接続部分を凍結して止水したうえで、トレンチ内の汚染水を吸い上げ、トレンチそのものは埋めるというプランを進めている。トレンチに凍結管を入れ、氷やドライアイスを投入して管内を流れる水を凍らせてしまおうというのだ。だがこれまでのところ、経過は芳しくない。
10月3日に開かれた第27回特定原子力施設監視・評価検討会では、この止水工事の進行状況が議題に上った。凍結が不十分という現状から、止水性を確保するためにセメントなどの素材を使って接続部分を埋めるという。検討会に提出された工程表によると、止水工事は11月上旬までに完了させることになっている。その後、2号機のトレンチ内汚染水について放射性物質の処理設備に通した後に移送するというが、これは止水完了後の11月中旬~2015年1月いっぱいをめどに終わらせる予定を立てている。
10月に入って、列島は2週連続で台風に襲われた。台風18号に続く19号により、10月14日未明から原発周辺も風雨にさらされ、大量の雨水が建屋内に流入したという。14日以降の地下水観測調査の結果は現時点で発表されていないが、台風19号の影響が予想される。
台風の季節が終わっても、これからは秋の長雨や大雪など心配は尽きない。不測の事態で、1万トンを超える高濃度汚染水があふれ出せば一大事。一刻も早いトレンチからの除去が望まれる。