1位は法政大学、2位が日本大学、3位が青山学院大学...。週刊ダイヤモンドが「仕事で使えない人材輩出」の大学ランキングでこんな結果を出したことが、様々な意味で反響を呼んでいる。
「使える大学」と「使えない大学」――。現場で働く個々のビジネスマンから見ると、意外な評価になるかもしれない。
仕事に対する気概が感じられない?
週刊ダイヤモンドの2014年10月11日発売号の特集は、こんな観点から独自の調査を行った。
それによると、転職サイト「ビズリーチ」と協力して、ビジネスマン1854人に「使える人材輩出大学」をベスト5、ワースト5まで挙げてもらった。1~5位までをそれぞれ5~1点としてカウントし、「使える」から「使えない」を引いた得点差で序列を決めた。
集計結果としては、ベスト30もランキングされているが、ネット上では、ワースト30の方が関心を集めている。
得点差223点でワースト1になった法政大学は、「グローバル人材輩出」「経営幹部人材輩出」でもワースト1になっている。さらに、「理系人材輩出」では、ワースト2に入った。ダイヤモンド誌では、その理由については説明していないが、ビジネスマンらの声は紹介している。法大OBについては、「ばかになって人に頭を下げられる」というメリットを挙げる人もいたが、「専門分野の追求姿勢に強さがなく、大学時代に集中して何かを行っていない」「仕事に対する気概が感じられない」といった厳しい評価が目立つ。
ワースト2の日大は、得点差218点で、「経営幹部人材輩出」「理系人材輩出」ではワースト1(前者は法大と同率)に入った。3位では、青山学院大が得点差141点となっている。
これに対し、各大学の関係者からは、ネット上で様々な反応が出ている。
ランキング集計手法に疑問が相次ぐ
特に、反応が多かったのがワースト1の法大だ。ブロガーとしても知られた社会学部准教授の藤代裕之さんは、「悲報」だとツイッターで紹介し、「去年から縁あって法政で教えていますが、大変残念な結果です」と漏らした。そして、「たかがランキングとか、調査手法がとか、意見はあると思いますが、一つの現実として受け入れなければ...」として、危機感を持って今後のゼミ運営などに当たりたいと決意を示している。
一方、文学部教授の尾谷昌則さんは、ツイッターで「調査方法にはかなーり問題があると思うな」と週刊ダイヤモンドの特集に疑問を呈した。回答者の出身大学の偏りによっては、調査結果に影響が出るかもしれないからだという。
確かに、こうした調査の場合、一般に名前が知られ、卒業生の多い大学が票を集めやすい傾向がある。アンケート対象になったビジネスマンの属している企業や職種によっても相当の差が出る。
ネット上では、「使えない大学」などのランキングを得点差で出したことに、批判が相次いでいる。「使える」「使えない」の総得点における割合として出さないとおかしいのではないか、との指摘だ。そのように集計すると、ワースト1位は、国士舘大学、名城大学、文教大学、亜細亜大学などが同率で選ばれるというのだ。
また、評価したビジネスマンや特集を参考にするような企業についても、揶揄する向きが多い。「使えるとか使えないとか、自分で育てる気もないくせによく言う。こんなのに投票している人物こそ使えない人材」「こんなのを参考にする人事部がいたら、その人事部こそが使えない」といった声だ。
ランキング結果について、法大の広報課に取材すると、管理職が外出して連絡が取れず、すぐには回答できないとの話だった。