韓国の主要紙「朝鮮日報」が、産経新聞の前ソウル支局長が韓国検察に起訴されたことに厳しい見方を示した。「言論の弾圧」という周囲の批判に異を唱え、非は産経側にあるとしたうえに批判の矛先を日本政府にまで向けた。
元をたどると、産経の記事は朝鮮日報のコラムを引用している。その事実には口をつぐんでいる。
「セクハラ問題」を言論の自由の問題にすり替えたと批判
産経新聞前ソウル支局長の起訴で、日本国内のメディアからは「言論の自由の侵害ではないか」との批判が相次いだ。さらに米国務省のサキ報道官は10月8日の記者会見で、韓国の法律に対する懸念を示しつつ、「言論と表現の自由を支持する」と強調した。
韓国メディアはトーンが違う。主要紙「中央日報」日本語電子版は2014年10月11日付の社説で、「今回の事態は産経が自ら招いた」と断言。一方で「公人に対する名誉毀損容疑で海外の記者を起訴したのは、国内外で極めて異例」と付け加えた。日本メディアに対して、起訴を批判する前に産経を批判すべきと注文をつけたが、同時に韓国政府と検察にも「起訴は不適切だった」との声に耳を傾けよと促し、バランスをとった格好となった。
朝鮮日報の場合、産経に対する攻撃的な論調が強い。10月13日に日本語電子版で配信されたコラムでは、起訴という判断については「残念なこと」とひと言で片づけ、残りは産経と日本政府への批判のオンパレードだ。産経側の「言論の弾圧」という主張に対して疑問を呈し、「口にするのも恥ずかしい男女関係の疑惑」を書いたのが原因だとする。韓国検察は「記事を装ったセクハラ」と判断した、しかも疑惑は事実無根だったにもかかわらず謝罪をしない産経が全面的に責任を負うべき、というわけだ。
菅義偉官房長官が、起訴について「民主国家ではあるまじき行為」と述べたことに対しても、「日本政府までセクハラという事件の本質を言論の自由の問題にすり替えている」とかみついた。