10月に入ってすべてが空回り
CS主催は阪神に移ったばかりか、結果が最悪だった。
11日の第1戦は0-1のシャットアウト負け。メッセンジャーに完全に抑えられた。この敗戦は2位阪神にアドバンテージが与えられており、広島は敗戦はもちろん、引き分けでもシリーズ敗退となる。
続く第2戦は珍しいほどの情けなさだった。両軍無得点のまま延長へ。規定の最終12回表、広島は点が入らなかった。この時点で試合終了、広島は巨人との第2ステージ進出は消えた。2試合で両チームが挙げた得点は阪神の1点のみで、広島は21イニングをゼロ行進で終わった。
「残念としかいえない」
「ちょっとひどすぎない?」
カープ女子からの声も力がなかった。エース前田で巨人戦、阪神戦を落とし、ペナントレースの大詰めで野村監督が「今季限りで辞任」を表明するなど、10月に入ってすべてが空回りした格好だった。
広島にとってカープ女子の効果は大きく、今季の観客動員は190万人を超え、前年比21.7%増の史上最多だった。これを支えたカープ女子は昨年NHKが取り上げたのをきっかけに火が付いた。
今年5月、球団は「関東カープ女子観戦ツアー」を企画。定員150人、参加者の負担は入場券と食事代で、新幹線代は球団が負担した。球団は持ち出しとなったが、話題となり成功。他チームもソフトバンクが「タカガールズ」と銘打ってイベントを行うなど、プロ野球で女性ファンの存在が一段と大きくなった。
球界の将来を考えると、広島は敗れたけれども「女子パワー」のすごさを残した。カープ女子の涙はまさに真珠の価値、といえる。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)