北朝鮮の国営朝鮮中央通信は2014年10月14日、金正恩第1書記が科学者向けに新設された住宅地の「衛星科学者住宅地区」を視察したと報じた。朝鮮労働党機関紙の労働新聞も同日付の1面トップで報じた。
視察の日時は明らかになっていないが、正恩氏の動静が報じられるのは、9月4日に、前日の牡丹峰(モランボン)楽団新作コンサート鑑賞が報じられて以来約40日ぶり。北朝鮮の国営メディアは、正恩氏の視察翌日にその事実を報じるのが慣例になっている。
痛風?足のけが?...
正恩氏は住宅、小学校、初等中学校、薬局、総合診療所、自然エネルギー研究所もなどを視察し、金日成、正日親子の銅像の前で記念写真を撮影したと報じている。労働新聞には正恩氏が写った写真が7枚ついており、そのうち少なくとも5枚で、つえを使っている様子が確認できる。ただし、記事中につえに関する言及はなかった。
正恩氏をめぐっては、7月には足をひきずりながら歩く姿が朝鮮中央テレビで報じられていたほか、7月の視察を記録した映画(9月25日放送)の中で正恩氏について「不自由な体」と表現されていたことから、痛風を患うなどの健康不安説が指摘されていた。朝鮮労働党創建69周年の10月10日にも正恩氏の動静が報じられなかったことから、この見方がさらに強まっていた。
つえを使う写真を公表したことで、正恩氏が足にけがや病気を抱え、2か月も治癒しないことが分かった形で、健康不安説がまたまた浮上するのが確実だ。