網膜色素変性症の国産薬、開発中 患者が日本に約3万人

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   難病・網膜色素変性症の進行を遅らせる国産薬の開発が進んでいる。

   2014年9月24日、東京で開かれた日本医学ジャーナリスト協会の例会で、山本修一・千葉大学医学部眼科教授が紹介した。

臨床試験に38医療機関が参加

   網膜色素変性症は遺伝性の眼病で、網膜で光を感じる杆体細胞の異常から夜盲や視野狭窄が進行し、失明することもある。症状は個人差が大きく、生まれつきの先天失明原因の1位、後年になって見えなくなる後天失明原因の5位になっている。推定では日本には約3万人、世界で139万人の患者がおり、現在のところ、確実に有効な治療法はない、とされている。

   千葉大学も臨床研究に加わっているのは、生理活性物質プロスタグランジンの前駆体の1種ウノプロストン。網膜の血流を増やしたり、眼圧を下げる働きがある。日本の創薬ベンチャー企業アールテック・ウエノが緑内障治療薬として開発、1994年から「レスキュラ点眼薬」として市販されている。この薬の濃度を少し高くし、網膜色素変性症の患者の網膜の感度を改善しようとの狙いだ。

   臨床試験では、偽薬群は21.2%が悪化したのに、ウノプロストン群では2.6 %と、明らかに進行防止効果が見られた。視野も少し改善し、視覚関連QOLは向上した。大きな副作用はなかった。

   180人の患者を対象とした最終的な臨床試験は38医療機関が参加して実施中だ。朝夕2回52週間点眼する。この開発には科学技術振興機構も支援している。結果は来年に明らかになるが、山本さんは効果が実証され、日本発の網膜色素変性症薬が誕生することを確信している、という。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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