日本学術会議が自戒込め異例の提案 震災対策やエネルギー政策で政府に再考求める

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「暫定保管」は30年を一区切りに

   この「暫定保管」とは、現在の科学では高レベル放射性廃棄物を地層深くに数万年以上にわたって安定的に処分するのは、「地殻変動や火山活動等が地下水移動に及ぼす影響の不確実性」などから、困難という議論だ。そこで、高レベル放射性廃棄物を地下深層に埋設せず、当面は陸上付近に安全に保管することで、後世の科学が進歩し、核廃棄物や地層処分をめぐる様々な問題の解決策が見つかるのを待とうという「モラトリアム」の考え方だ。

   この提言は政府を巻き込み、核燃料サイクルの見直しが「暫定保管」を軸に進むかと期待されたが、政権交代後の安倍晋三政権では大きな議論は起きず、政府は高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設を目指す姿勢を変えていない。

   そこで今回、日本学術会議は暫定保管について、「人間の一世代に相当する30年を一区切りとして考えるべきだろう」と、改めて提言した。

   日本学術会議は併せて、政府が目指す原発の再稼動について、「使用済み核燃料をどこの暫定保管施設で保管するか事業者(電力会社)が確保することを原発操業の前提条件とすべきだ」とも指摘。「(暫定保管の)条件を明確化しないままの原発再稼動や原発建設・増設は無責任で、世代間公平の原則を満たさず、容認できない」と踏み込んでいる。

   提言は「地震学を中心として、東北沖の大地震の発生を予測することはできなかった。専門家が発した『想定外』の言葉は科学に対する不信を引き起こした」との反省に基づいたものだが、果たして、政府や世論に影響を与えるか、注目される。

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