サムスンとLGの牙城を崩すのは容易でない
中国勢をさらに勢いづかせそうなのが、韓国で2014年10月1日に施行された「端末流通構造改善法」だ。スマホ購入時の割引を制限する内容で、10月7日付の日本経済新聞電子版によると、上限が34万5000ウォン(約3万5000円)となり、「メーカーの希望小売価格は高いが割引幅も大きかった韓国メーカーの高機能機には不利な仕組み」だという。
ただ現状では、「中華スマホ」の韓国での存在感は高いとは言えないようだ。ソウル在住の韓国人ジャーナリストに取材すると、「今でもサムスンとアップルが圧倒的です。中国メーカーのスマホは見かけません」と明かす。サムスン製のスマホが高価格だという声は出ていると認める一方、「今のところ、韓国の消費者が次々に中華スマホに乗り換えている感触はありません」。
韓国主要紙「中央日報」電子版は2014年9月30日付の記事で、韓国通信会社大手KTの関係者が「サムスンやLGにも低価格モデルはあるため中国製スマートフォンブームにつながるかは未知数だ」と述べたと報じている。前出の「ビジネスコリア」でも、専門家の話として、中国メーカーの拠点は中国市場であり、韓国で中国メーカーのスマホを取り扱う販売店の数は限られているとの指摘を紹介。サムスンとLGの牙城を崩すのは容易でないだろうとしている。
ただし変化が激しいのもスマホ業界の特徴だ。小米は、2015年に1億台前後のスマホを出荷する見通しだと10月7日付の日経電子版が報じた。これは2014年比で倍増となる。スピードと圧倒的な物量攻勢をかけられれば、サムスンとても安閑としてはいられないはずだ。