気候変動サミット、合意に弾み 日本の存在感かすむ

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新枠組みの国際交渉を有利に進める狙い

   元々、米中は温暖化防止の「劣等生」だった。米国は1997年の京都会議でCO2などの排出削減目標で合意しながら、ブッシュ政権に代わると京都議定書から一方的に離脱した。

   中国は「温暖化はCO2などを垂れ流して先に成長した先進国の責任」として、削減目標を掲げることを拒否し続け、近年は、国内総生産(GDP)当たりで目標を示すまで「譲歩」していたが、GDPが増えれば排出量も増える理屈であり、実効性がないと批判されていた。ところが今回、張副首相は2020年以降の温暖化ガス削減目標について、総排出量を「早く頭打ちにして削減へ努力する」と言明し、中国としてCO2などの総量規制に踏み込む考えを示した。2016~20年の次期5か年計画で総排出量の削減目標を盛り込む方向で検討を始めているとも伝えられる。

   オバマ政権になって温暖化対策に前向きになった米国を含め、後ろ向きだった米中両国が削減に積極姿勢を打ち出したのは、最終盤にさしかかった新枠組みの国際交渉を有利に進める狙いがあるのはいうまでもない。オバマ大統領としては残り任期2年になり、実績作り急ぎたい思いがあり、中国には大気汚染対策を求める国内世論の高まりを無視できないという事情も指摘される。また、8月に南シナ海上空で中国軍の戦闘機が米軍の対潜哨戒機P8に異常接近するなど、軍事面での摩擦が強まっており、共同歩調を取りやすい気候変動問題を利用して関係改善につなげたいという思惑も両国にはありそうだ。

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