最近、マスメディアに関わる事件が多い。ここのところ、朝日新聞に対する国内での批判が多かったが、今度は海外からびっくりするニュースが入ってきた。
韓国の検察が、「根拠もなしに大統領の名誉を傷つけた」として産経新聞の前ソウル支局長を情報通信網法に基づく名誉毀損罪で在宅起訴したのだ。市民団体の告発を受けてのことであるが、日本の感覚から言えば、「あれっ!?」という事件である。もっとも、1993年に軍事機密漏えいで、起訴され有罪判決を受けたフジテレビ支局長の例もあるが。
国民批判をそらす意図があったといわれても仕方ないようなやり方
今はネットの時代だ。問題とされたのは、2014年8月3日付けのウェブ上のコラムであり、本日(10月9日)現在も、読むことができる。
これを読む限り、ネット上ではどこでもあるような内容だ。しかも、朝鮮日報コラムのほぼ孫引きである。そのコラムの日本語版も、ちょっと手続きは面倒だが読める。
その朝鮮日報では今回の起訴について、「謝罪・反省しない産経前支局長、名誉毀損罪で在宅起訴」と報じ、起訴の理由について「加藤前支局長の記事は客観的な事実と異なり、その虚偽の事実をもって大統領の名誉を傷つけた。取材の根拠を示せなかった上、長い特派員生活で韓国の事情を分かっていながら、謝罪や反省の意思を示さなかったという点を考慮した」と報じている。
こうした事情は、今やすぐにネットを通じて世界に伝わる。韓国政府としては、市民からの告発を奇貨として、セウォル号の事故から国民批判をそらす意図があったといわれても仕方ないようなやり方だ。
ちょっと冷静になって考えれば、このような起訴がかえって韓国にマイナスになる、くらいは分かりそうなものだが、拳を振り上げざるを得なくなり、その拳の落としどころも苦慮したのだろう。