米アップルの「アイフォーン(iPhone)6 Plus」は、画面サイズが5.5インチと「iPhone史上最大」だ。滑り出しは売れ行き好調なようだが、「大きすぎる」との不満も出ている。
スマートフォン(スマホ)を片手で操作するのに慣れていた利用者が、大きさを持て余して使いにくいとため息を漏らしている。
片手で操作しきれない、通話時に耳に当てるのも違和感
近年、スマホは大型化が進み「ファブレット」と呼ばれる5~7インチのサイズが人気を呼んでいる。5インチ超えとなったiPhone6 Plusもその仲間入りをしたが、初期モデル以降長らく3.5インチのサイズで親しまれていただけに「iPhoneらしさが失われたのでは」と首をかしげるファンもいる。
お笑い芸人の伊集院光さんも、そのひとりのようだ。2014年10月6日放送のラジオ番組で、iPhone6 Plusに触れた。旅先で一緒に歩きながら会話していた番組プロデューサーから、「大きすぎる。片手で操作できない」と不満を訴えられ、伊集院さんも同意見だったという。2人が「6 Plus」を選んだ理由は、老眼だから画面が大きい方がいい、また同時発売した「6」と比べても大型なことから「なかなか手に入らないんじゃないか」と考えた点だったそうだ。だが、片手で持った状態で親指を画面斜め上に持っていこうとした場合に「多分何かの拍子にぶん投げちゃう」と笑った。もちろん異論はあるだろうし、両手で操作するものだと納得したうえで購入するなら問題ないとも述べた。
大型化の賛否は、インターネット上にも少なからず出ている。既にファブレットを持つユーザーからは、慣れればかえって小さい画面にイライラするようになるとの指摘があった。最初から両手使いを想定していたから便利、写真や動画の閲覧、編集には大型画面が優れている、というのが賛成派の意見だ。
東京都内勤務の40代男性に聞くと、1年前に、3.5インチサイズだった「iPhone 4S」から5インチの別のスマホに機種変更した。「iPhone 6 Plus」には及ばないが、「6」よりは大きい。片手で不自由なく操作可能で、今では「周囲でiPhoneを使っている人を見ると『小さいな』と感じます」と明かした。
一方の反対派は、伊集院さんと同じく「片手では無理」との嘆きが多い。画面の端まで指が届かないというわけだ。通話の際、耳に当てるのに大きすぎて違和感ありとの感想もある。
夏野剛氏酷評「まるで老眼フォン」
慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏は、東洋経済オンラインに2014年10月2日掲載の動画でiPhone6 Plusについて「触ってみたけれど、ガックリ」「まるで老眼フォン」と表現し、落胆をあらわにしている。見づらいという人のために文字が大きくなっているだけではないか、専用コンテンツもなく、他のメーカーでもつくられる端末になっていると酷評。アップルの美学やデザインへのこだわりが失われ、これからどこに向かうのか心配だと話した。
他社を見ると、韓国サムスン電子の「ギャラクシー」では画面サイズ5.7インチの機種が、またソニーモバイルの「エクスペリア」にも6.4インチサイズと、iPhone6 Plusを上回る大型端末がある。アップルがこうした流れに追従して画面拡大路線を進むなら、確かに「らしさ」が消えていく恐れはある。