勝てる投手で勝たないとシリーズ制覇難しい
菅野は今や、セ・リーグ有数の投手と高い評価を受けている。安定感ではチーム一。杉内、内海といった実績のある投手に衰えが見えるだけに、チームがもっとも信頼しているのが菅野なのだ。
原監督が菅野を軸に、クライマックスシリーズ、日本シリーズを見据えていた。その柱が投げられないとなると、戦い方ががらりと変わる。
現在の巨人投手陣で計算ができるのは菅野だけといっていい。杉内、内海は後半になるとつかまることが多い。復活した沢村は調子の波が激しい。今季売り出した小山、セドンは経験不足で投げさせて見なければ分からない。
短期決戦は相手に通用する投手を絞って戦う。ローテーション通り投げさせ、敗戦も計算しながら試合を行うのとは全く異なる。勝てる投手で勝たないとシリーズを制覇することは難しい。
「(治る)可能性を信じて、早く治して戻ってきたい」
菅野はまさに一縷の望みにかけている。それは原監督も同じだろうが、ボールを握らずに治療するという事態を考えると、ますます苦しい。
ただクライマックスシリーズはベンチに入らず、日本シリーズに進出したときに投げる、という可能性はあるかもしれない。ご存じの通り原監督にとって菅野は甥にあたる。シーズン中に父・貢氏を亡くしたばかり。原ファミリーが最後までクローズアップされる今季の巨人である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)