インドを旅行中の日本人女性(27)がエボラウイルスに感染している疑いがあるとして、病院に隔離されていることが明らかになった。2014年10月6日、主要英字紙の「ヒンドゥ」(電子版)をはじめとする現地メディアが相次いで伝えた。
仮に感染が確認されれば、日本人では初めてのケースになるとみられる上、インドでの確認も初めて。現地紙は「エボラ疑いでパニック」とまで報じており、警戒を強めている。
インド入り前にミャンマーなど訪問
女性はミャンマーから陸路でインド北東部のマニプル州に入り、州都のインパールでエボラウイルス感染の兆候を示したという。現地の病院で行った検査では陰性だったため、血液サンプルを国立ウイルス研究所に送って詳しく調べている。女性は市内の研究機関の附属病院に移送、隔離室に収容されているという。感染経路は明らかではないが、女性はインド入りする前に、ミャンマーを含めて5か国を訪れていたという。アフリカに渡航したという報道は出ていない。
仮に陽性反応が出て感染が確定した場合のインド国内での影響は大きそうだ。前出の「ヒンドゥ」紙は、このニュースを「エボラ疑い例がマニプルにパニック起こす」と題して報じており、陽性反応が出た際は、ホテルにいた大勢の宿泊客、病院の医師や救急隊員が感染のリスクにさらされると指摘。さらに病院関係者の話として、女性が入院している病院には完全な隔離区域が設定されておらず、この病院の患者を別の大病院に移送しなければならなくなる可能性が出てくるとも伝えている。これに加えて、マニプルに来るすべての旅行者に対して空路と陸路で「水際作戦」を行う必要も出てくる。
日本大使館では「報道は承知しており、事実関係を確認中」
インドの健康情報を扱うポータルサイト「ヘルスサイト」も、この感染疑いの事例を報じており、(1)インドのように人口密度が高いところでは感染が広がりやすい(2)一度感染すると死亡率が高い(3)ウイルスに対する免疫がない、といった事柄を「エボラを決してインドに入れてはならない理由」として列挙し、警戒を呼び掛けている。
在インド日本大使館では「報道は承知しており、事実関係を確認中」と話している。