東電の火力包括提携、お相手は中部電力 エネルギー業界再編の呼び水となるか

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関西電力が東京ガスと組んで対抗勢力形成に動く可能性も

   今回の包括提携について、東京電力と中部電力は、「効果が高く、かつ進めやすい分野から順次進める」としている。 そのうえで、共同出資会社は「独立した企業文化と市場から信任される強く健全な経営・財務体質を有し、自律的な事業運営と迅速な意思決定が可能な経営体制が確保されたものとする」と、政府主導にクギを刺した。

   中部電が恐れているのは、東電の福島第1原発事故の処理費用と関係づけられることだ。中部電としてもLNG調達の規模拡大は望むところだが、「国策会社」の東電と組むことで、福島原発の賠償などを負担させられてはかなわない、というのが本音。この点について、東電側も中部電の主張を汲んだようだ。

   LNG調達のみならず、老朽化した火力発電所の建て替えや海外における天然ガスの権益確保なども担うとされる共同出資会社をめぐっては、どこまで火力発電所を移管するのか、という点も調整の余地が残る。

   東電は、将来的な火力発電部門の「事業統合」を視野に入れているという。しかし、中部電は、発電の中核である火力をどこまで共同出資会社に切り出すかについて、必ずしもまとまっていない。火力をすべて一緒にするなら、それはもはや東電と中部電が経営統合することに近づくからだ。火力発電設備をどこまで新会社に移すのかは今後、最大の協議のポイントといえる。

   一方、東電・中部電の提携には、中部電と近い関係にある大阪ガスが加わる可能性もなお残っているとの見方もある。これがエネルギー業界再編の呼び水となり、関西電力が東ガスと組んで対抗勢力形成に動く可能性もあり、水面下で強烈な駆け引きが展開されそうな雲行きだ。

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