イオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)の流通2強グループが2014年9月、そろってプライベートブランド(PB)による化粧品の本格販売に乗り出すと発表した。
いずれも高い品質ながら手頃な価格であるとPRし、全国に広がる豊富な流通網で販売に力を入れていく構えだ。新たなコスメ戦争に発展する可能性もある。
イオンが先行、セブンが追う
イオンが9月11日に発表したのは、高品質ブランドと位置づけるPB「トップバリュ セレクト」のスキンケア化粧品シリーズ「GLAMATICAL(グラマティカル)」。イオンやダイエーなど全国の総合スーパーやインターネット上のサイトで16日から販売を始めた。
女性の肌質ごとに悩みは異なるとして、「毛穴・乾燥」「ハリ・弾力」など肌の状況に合わせ、化粧水や乳液、クリームなど17品目をそろえた。価格は最も高い美容液「ハイドレーションセラム」が2592円(税込み)で、主要化粧品メーカーの同じクラスの商品と比べ、3~4割程度は抑えているという。
一方、イオンの発表から約2週間後の9月25日、セブン&アイはファンケル化粧品と共同で、スキンケア化粧品「ボタニカル フォース」を開発し、セブン&アイのPB「セブンライフスタイル」から売り出すと発表した。11月から全国のイトーヨーカ堂やコンビニエンスストアのセブン-イレブン、百貨店のそごう・西武などで順次販売する。
無添加化粧品を30年間展開してきたファンケルの技術とノウハウを駆使し、防腐剤や香料、着色料を一切配合しない「無添加処方」で、植物由来の美容成分を配合。全7品目で、価格はファンケルが展開する売れ筋商品と同等レベルといい、最も注目されそうな「美容オイルクレンジング」が1836円。「品質から見ても十分納得していただける価格」という。
化粧品は利益率が高い
両社のPB化粧品の本格参入は、売り上げを伸ばしているPB商品をさらに強化する一環で、利益率が高いとされる化粧品の投入でいっそうの収益につなげようとの狙いだ。ただ2グループには大きな違いがあり、イオンは自社ブランドの化粧品としてPRするのに対し、セブン&アイはファンケルとの共同開発であることを強調している。
PB戦略では元々、両グループの対応は異なっている。セブン&アイが「消費者の視点で、誰が作ったかという情報の提供は必要」とし、メーカー名を明らかにしているのに対し、イオンは「商品すべての責任を持つのはあくまで販売者だ」との立場を重視、「販売者・イオン」を打ち出す。
ただ、化粧品業界では、美白化粧品を使った人の肌がまだらになったカネボウ化粧品の白斑問題が生じたばかりで、「安全・安心」への関心がことさら高まっている。そんな中、セブン&アイは「ボタニカル フォース」の報道向け発表時に、「誰が作ったかわからない化粧品を女性が使うだろうか」とあえて指摘し、イオンとの違いを強調するなど、早くも激しい火花を散らせている。