御嶽山噴火で救助活動をしている自衛隊について、太陽の党代表の西村眞悟衆院議員がブログで書いたことが論議になっている。自衛隊が救助の主体になれば日ごろの訓練から少々のことで中止しないという意見に、異論も多いのだ。
尖閣諸島に上陸するなど、西村眞悟衆院議員は、国の安保を巡る積極的な言動が多いことで知られる。
「2次被害のリスク無視で活動しろというのか」
2014年9月30日のブログでも、西村氏は、所信表明演説をした安倍晋三首相に対し、集団的自衛権行使容認についてもっと強く打ち出せばよかったと苦言を呈した。そして、次に災害対策について、安倍首相は、小手先のことをやろうとするのではなく、もっと自衛隊の有効活用を打ち出すべきだと指摘した。
西村氏はまず、大規模災害や緊急事態では、陸上自衛隊が主体となって警察や消防を指揮することを説いた。西村氏によると、パトカーや消防車が現場に行けず、ヘリも丈夫でないため、警察や消防の次では、救助できた人をむざむざ放置してしまうという。
これに対し、自衛隊は、大規模災害などで稼働できる車両や航空機があり、「ヘリも少々弾丸が当たっても壊れない構造だ」とした。御嶽山では、多くの「心肺停止の人」が頂上付近に横たわっているのは気の毒だとして、救出中止の判断がなされたことに疑問を呈した。そして、防毒マスクを着けてヘリから降下するなどの訓練を積んでいることから、「自衛隊なら、少々のことで人命救助を中止しないだろう」と持論を述べた。
こうした考え方については、「指摘が非常に解りやすくて納得」「救助活動が歯痒い事、指揮系統への問題提起は賛同出来ます」といった理解を示す声もネット上ではあった。しかし、「2次被害のリスク無視で活動しろというのか」「心肺停止してる人の救助は緊急ではないと思う」「火山弾に耐えるヘリなんて存在しねーよ」といった疑問の方が多く書き込まれている。
評論家の小沢遼子氏の発言にも批判が
こうした疑問の声についてどう考えるのか、西村眞悟氏の国会事務所に取材すると、西村氏は海外に行っていて連絡を取るのが難しいとのことだった。
自衛隊の救助活動を巡っては、著名人らが様々な立場から発言しており、ネット上で話題になっている。
西村氏と違って、集団的自衛権行使容認について懐疑的な言動をしている評論家の小沢遼子氏も、その発言がネット上で論議になった。
それは、2014年10月3日に放送されたTBSラジオの番組「森本毅郎・スタンバイ!」でのことだ。自衛隊が救助活動を中止したことについて、小沢氏は、「上から石が落ちてくるかもしれない、風が吹いてくるかもしれない、毒ガスの臭いがするかもしれない、それで近づけない軍隊っていうのはやっぱり軍隊じゃないですよ」と述べたのだ。そのうえで、「イスラム国なんかに行って、いつ爆弾が飛んでくるか何が飛んでくるかわからない所にね、人助けに行けるようなアレじゃない」とも指摘し、「集団的自衛権問題はねえ、もうこれで論議終わり」と断じていた。
この発言は、放送後に疑問も相次ぎ、「自衛隊は特攻隊じゃねえんだよ」「必要性のない危険は徹底して避けるのが軍隊だろう」「ちょっとなにいってんのかわからない」と批判が出ている。
小沢氏は、取材に対し、発言の意図を次のように説明した。
「自衛隊が助けに行く方が危ないと思っており、まったく反対ですよ。自衛隊は、弾が飛ぶようなところには行けないと分かり、軍隊ではなくて安心したという意味で言いました。日本が戦争に行くことに賛成しておらず、もう戦死者は出てほしくないと思っていますから」