香港では、政府トップの行政長官を決めるために民主的な選挙の実現を求めて抗議デモが長引いている。解決の糸口がなかなか見つからないなか、市民のイライラの炎に油を注ぐような騒ぎが起きた。
行政長官の娘が、交流サイト「フェイスブック」に投稿した内容が原因だ。高額な貴金属や靴は「香港市民の税金で買った」と、納税者を馬鹿にするような書き込みで批判を浴びた。
「マリー・アントワネットのような図々しさ」
騒動の主は、香港行政長官・梁振英氏の娘、梁齊ヤンさん(ヤンは日へんに斤)。フェイスブックに載せた自分の写真で、身に着けているネックレスを他のユーザーにからかわれたのが発端だ。英デイリーメール紙電子版「メールオンライン」2014年10月2日付の記事には、既に削除された問題の書き込みが掲載されていた。
「私が付けているネックレスは犬の首輪じゃないわ、ばかばかしい」
と、冒頭から怒っている様子。高級百貨店で購入した美しいネックレスだと強調しているが、その後が波紋を起こした。
「あなたたち香港納税者の皆さんのお金で買ったのよ。靴もドレスもクラッチバッグも、みんなそう。とってもありがたいわ」
過激発言は続く。「皆さん、といってもどうせほとんどは失業者でしょうね。だからいつも私に対して悪口を書き込むんでしょ」。散々嫌がらせコメントを書かれて、業を煮やしての「反撃」だったのかもしれない。だが、父親である行政長官への批判がピークに達しているといえる時期に、「税金で高級ネックレスを買った」というのは市民の神経を逆なでするには十分だった。
この発言を知った人たちからは、インターネット上に、「なんて頭にくる態度」「最低」「頭空っぽ」と強く反発する書き込みが並んだ。なかには「マリー・アントワネットのような図々しさ」という声もある。フランス革命前、多くの貧しい民衆を放置して自らはぜいたくな暮らしを続けたかつての王妃のようなふるまいと言いたいようだ。
梁齊ヤンさんはファッションに興味があるようで、フェイスブックには指輪やカラフルな靴、ネイル、バッグなどの写真が並ぶ。特にお気に入りは米モデル、パリス・ヒルトンや妹のニッキー・ヒルトンと「お揃い」の特注クラッチバッグだ。ヒルトン姉妹と同じように自らの名前を入れたバッグの写真を数枚投稿し、「届くのを何か月も待っていたの」と喜びを爆発させていた。