宇宙旅行、民間初のツアーが来年実現か 2500万円、日本から19人が予約済み

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   厳しい訓練や難関を突破して宇宙飛行士にならずとも、観光気分で宇宙旅行を楽しむツアーが現実になろうとしている。

   英国ヴァージングループが創設した宇宙旅行会社「ヴァージンギャラクティック社」が米国連邦航空局(FAA)に民間宇宙旅行の運航免許を2013年6月に申請し、飛行テストが最終段階を迎えている。

宇宙滞在時間は4分間

観光気分で宇宙旅行(画像提供:ヴァージンギャラクティック社 協力:クラブツーリズム・スペースツアーズ)
観光気分で宇宙旅行(画像提供:ヴァージンギャラクティック社 協力:クラブツーリズム・スペースツアーズ)

   関係者によると、「年内は困難な見通しだが、2015年には宇宙旅行が実現しそうだ」という。同社の宇宙旅行の募集は既に始まっており、費用は25万米ドル(約2500万円)。特別な資格や制限はなく、既に世界で約700人が支払いを済ませ、日本からも19人が予約済みというから驚きだ。

   ヴァージングループは航空、鉄道、金融、通信などを手がける多国籍企業で、日本ではヴァージンアトランティック航空が有名だ。ヴァージンギャラクティック社は同グループで宇宙旅行をビジネスとして実現するため、2004年に設立。日本国内では近畿日本ツーリスト系のクラブツーリズムが2014年1月、子会社「クラブツーリズム・スペースツアーズ」を設立し、公式代理店として本格稼動した。もはや宇宙旅行は夢物語ではなく、2500万円を払えば誰でも予約できる時代なのだ。

   ただし、「世界初の民間宇宙旅行」と言っても、宇宙空間(高度約100キロ)の滞在時間は4分間に限られるという。クラブツーリズム・スペースツアーズによると、宇宙旅行の所要時間はトータル約2時間。米国ニューメキシコ州の宇宙専用空港の滑走路を母船で離陸。約45分で成層圏近くの高度15キロに達し、母船が宇宙船を切り離す。宇宙船はロケットエンジンを噴射してマッハ3.3で宇宙に向かう。高度20キロ付近から「空は宇宙らしい雰囲気になる。コバルトブルーから紫、藍色、そして漆黒へと変わっていく」とされ、90秒後には高度100キロの宇宙空間に到着するという。

   ここが世界初の民間宇宙旅行の目的地だ。宇宙船内でシートベルトを外し、約4分間、無重力の状態で窓から宇宙や「青い地球」を眺めることができる。束の間の「観光」が終わると、宇宙船は大気圏を目指して降下し、高度21キロからグライダー飛行で空港に戻る計画だ。

   ちなみに、関係者によると、国際条約などで「高度何キロ以上が宇宙」といった定義はないという。国際航空連盟は高度100キロ以上、米国連邦航空局(FAA)は高度80キロ以上を宇宙と規定している。

600万円なら「妥当」かも

宇宙旅行、庶民の手が届くか(画像提供:ヴァージンギャラクティック社 協力:クラブツーリズム・スペースツアーズ)
宇宙旅行、庶民の手が届くか(画像提供:ヴァージンギャラクティック社 協力:クラブツーリズム・スペースツアーズ)

   2500万円の費用を高額とみるかどうかは、意見が分かれるところだ。日本からツアーに参加する19人は、男性14人、女性5人で、平均年齢約60歳。会社経営者など高所得者が占めるという。

   クラブツーリズム・スペースツアーズと宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同研究によると、クラブツーリズムの登録顧客(20~70歳代)の約6割は「宇宙旅行に行ってみたい」と答えているが、その条件として「より安全性が確認されたら」「2500万円より安くなったら」を挙げている。価格については6割近くの人が「1000万円以上」を高いと感じており、600万円程度で「高い」と「安い」が均衡する結果となった。

   果たして宇宙旅行は安くなるのか? これにはかつての海外旅行が参考になるという。海外旅行は1964年に自由化されたが、当時のハワイ旅行は9日間で36万円だった。当時の大卒初任給は約2万円(現在の10分の1程度)で、ハワイ旅行は「高嶺の花」だった。現在のハワイ旅行は当時の3分の1程度となり、現在の大卒初任給で換算すると、ハワイ旅行は50年間で実質的に30分の1に下がった計算になる。現在、2500万円と家を買うのと同等の宇宙旅行も安全の実績を積んで普及すれば、数十年後には庶民の手が届く割安ツアーが誕生するかもしれない。

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