東京証券取引所で、トヨタ自動車やホンダ、キヤノンなどの42銘柄に「誤発注」が発生していたと、インターネットで話題になっている。
どの銘柄も時価総額で上位にある、日本を代表する大手企業で総額67兆円にものぼる巨額の誤発注というから、もし本当であれば大変な騒動になってもおかしくない。それにもかかわらず、東証から何のアナウンスもないのは、なぜだろう――。
東証「こちらから発表することはありません」
「誤発注」は、ある銘柄について同じ株数と同じ株価で「買い」と「売り」を注文する「クロス取引」といわれる取引で起こった。
2014年10月1日9時25分、トヨタは1株6463円で19億6257万株、ホンダは3800円で13億864万株、デンソー5055円で7億4258万株、NTT6821円で5億2044万株、三菱UFJフィナンシャル・グループには620.2円で8億6510万株などと、42銘柄、総額67兆7814億円もの注文が入ってきた。
もし本当であれば、東証1部全体の時価総額の14%に達する、大規模な「誤発注」だ。すでに事態は収束しつつあるものの、巨額の「誤発注」騒動はインターネットでも話題となり、10月3日にもこんなカキコミが寄せられていた。
「ジェイコムの教訓... 相変わらず学ばんのう」
「約定後も取り消せるっていうのは、ある種のモラルハザードだな。それなら俺も株やるわ」
「東証はまだこんなことやってんのんか。成長せんな」
「誰かものすごく儲けた奴がいるの?」
といった具合。そこからは株取引への「不信感」もうかがえる。
ところが、この「誤発注」騒動について、株式市場を管轄する東京証券取引所は、何も情報を開示していない。不思議に思って東証に聞いてみると、その理由は「市場外取引」にあった。
市場外取引は、取引所の市場外で売り手と買い手が相対で取引する。つまり、東証の与り知らぬ取引で、取引が成立した場合に、日本証券業協会に会員(証券会社)が取引内容を報告することになっている。
東証は「1日の件は、『市場外取引』で起こったことなので、事情は(日本証券業)協会のほうが詳しく知っています。市場内で起こったことではないので、こちらから発表することはありません」と話している。