送変電設備を強化するとさらに料金値上げに
天候によって発電量が安定しないことに加えて、参入事業者が増えて供給量が増えるほど、電力負荷の調整がむずかしく安定した送電ができなくなるという、太陽光発電の「弱点」はFITの導入時から指摘されていたことだ。
九電は、「たしかに当初からわかっていたことではありますし、当社としても(太陽光発電事業者の)受け入れのため、火力を強化するなど、供給量の変動に対応できる体制をとってやってきました」という。
それでも太陽光発電事業者の接続申し込みが殺到したことで、「(太陽光発電の)供給量が増えると電力の需給バランスが保てなくなり、(大規模停電などの)リスクが高まりました」とし、「想定外であった」ことを繰り返し、申し込み保留への理解を求める。
解決には送電線や変電所の増強や、大型蓄電池の設置などが必要とされるが、「そう簡単なことではない」(九電)。九州でも、各地域の送変電設備の容量が不足しているのが現状だ。太陽光発電の接続のために必要となる送電線や変電所などの系統増強費用は、事業者の負担になるのだが、その負担に耐えられなくなり、申し込みを辞退する事業者もあるという。
また大型蓄電池の設置となると、さらにむずかしい。九電は「蓄電池による変動調整は、瞬間的な、小さな変動であれば対応できると思いますが、数100kWにものぼる電力となると...」と言葉を濁す。実現性は乏しいようだ。
そして、こうした問題解決のための技術開発や施設の設置コストは、電気料金を通じて消費者につけ回されることになる。
ちなみに経済産業省によると、2014年6月までにFIT制度の認定を受けた再生可能エネルギー事業がすべて運転開始した場合、電気料金に上乗せされる買い取り費用は年間2兆7018億円に達し、平均的な世帯の負担額が現状の月額225円から935円に増える、と試算している。