シラスウナギ2割削減で合意 「うな重」のお値段はどうなるのか

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今後も値上がりを覚悟せざるを得ない

   では、日本のウナギ養殖業者、価格などへの影響はどの程度だろうか。

   既に乱獲で稚魚は大幅に減っていて、日本の稚魚投入量は2013年に12.6トンと過去最低に落ち込んだ。2014年は27トンまで戻したので、そこから2割減の21.6トンという上限は、2013年を大幅に上回っており、にわかにひっ迫することはなさそうだ。ただし、零細が多い養殖業者の経営への影響は避けられそうもない。6月に成立した内水面漁業振興法により、11月からウナギの養殖は届け出制になる。水産庁は21.6トンを都道府県ごとに割り振った上で、過去の実績などを基に業者ごとに割当量を決める方針だが、公平性をめぐり不満が出る可能性もある。

   また、価格への影響は必至だろう。今年は前年より捕獲量が多かったため値下がりしたとはいえ、ここ数年でウナギ店などの仕入れ値は2倍以上に上がっており、国際的な規制で、今後も値上がりを覚悟せざるを得ないとの見方が一般的だ。

   規制上限が、今回の決定で済むのかという問題もある。ニホンウナギはまだ生態が解明途上で、産卵から成長のメカニズムもようやくわかってきたところ。このため、卵から手掛ける完全養殖は実用化されていないだけでなく、そもそも、どれだけ資源量があるのかすら、はっきりしていない。

   今後、科学的なデータに基づき、どのくらいまでならウナギを消費しても資源が枯渇していかないかを突き止めることになるが、農林水産省自身、「(今回の合意で)完全に資源の保存管理ができるとは考えていない」と認めている。水産庁内にも「今回の削減は踏み込み不足」との声があり、2016年以降の一段の削減量の積み増しをにらんで関係国・地域の協議再開をめざすことになりそうだ。その中では、今回の「紳士協定」にとどまらず、条約や協定など法的拘束力のある枠組み作りも協議することになる。

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