読売はとっくに1000万部割れ
9月19日頃には、「ご愛読者のみなさまへ深くおわび申し上げます」と題したチラシが広く配られた。内容の大半は紙面に掲載されたものと同じだが、
「どうか、弊紙と弊社の今後の取り組みを厳しく見守っていただけますよう、切にお願い申し上げます」
という読者向けの文言も加わっている。ただ、このチラシの差出人は「朝日新聞社」。木村社長の名前がなかったことに疑問を覚えた読者もいたようだ。
この時期、23区内のある世帯にはチラシにまぎれて販売店主の直筆の手紙が入っていた。独自の工夫をした販売店もあるようだ。
9月28日頃には、
「どうか、引き続き厳しい目で朝日新聞を見守り、いま一度チャンスを与えていただけますよう、お願い申し上げます」
などと書かれた木村伊量(ただかず)社長名の手紙も配られた。この手紙を販売員が持参した際に、手土産としてタオルを持参したケースもあったようだ。あまりに「お手軽」だということで朝日新聞側の誠意を疑問視する声も出ているが、この判断が販売店によるものなのか朝日新聞本体によるものなのかは明らかではない。
もっとも、部数減は朝日新聞だけではなく新聞業界全体の課題だ。例えば朝日新聞からの乗り換えを勧めるキャンペーンを展開している読売新聞の14年上期の部数は956万1503部。前年同期比で3.2%も減少している。半期ベースでは10年下期を最後に1000万部割れが続いており、「1000万部死守」という至上命題は、もはや遠い昔の話のようだ。