「領土主張」罰金はアルゼンチン345万円、韓国40万円
サッカーの国際試合を見ると、サポーターの行為が処罰の対象となることはしばしばある。中でも人種差別には厳しく、対応も迅速だ。
政治的な主張はどうか。最近の例では、アルゼンチン代表の選手たちが2014年6月、自国開催の親善試合直前に「マルビナス(英領フォークランド)諸島はアルゼンチン領」と書かれた横断幕を手にした。報道によるとFIFAは1か月後、アルゼンチン側に罰金3万スイスフラン(約345万円)と厳重注意の処分を下した。
類似の事例は、2012年のロンドン五輪で韓国代表の朴鍾佑選手が日本戦終了後、島根県の竹島が韓国領だとハングルで書かれたカードを持ってピッチ上でアピールしたのが思い浮かぶ。この時は試合から約4か月経過してから、FIFAが朴選手の2試合の出場停止と罰金3500スイスフラン(約40万円)と、韓国サッカー協会への警告処分を決めた。単純比較はできないが、アルゼンチンに対する措置と比べると決定までに時間がかかり、罰金も約10分の1程度にとどまった。
サポーターによる政治活動となると、2014年3月11日の欧州チャンピオンズリーグ、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)-アーセナル(イングランド)の試合で、バイエルンのファンが「人種差別にはノーを、コソボにはイエスを」と書いた横断幕を掲げたケースがある。コソボは2008年にセルビアから分離独立を宣言したが、ロシアやセルビアが国家承認していないこともあり、サッカー代表チームはFIFAや欧州サッカー連盟(UEFA)の加盟を認められていない。バイエルンはコソボ出身の選手がプレーしていることもあり、サポーターがUEFA入りを後押しするメッセージを出したようだ。この試合では、別に人種差別的な幕も観客席で見られたため、UEFAが「2件分」の制裁としてバイエルンにホームゲームでの観客席の一部閉鎖と罰金1万ユーロ(約139万円)を科したという。
日本政府は、安重根について「テロリスト」「犯罪者」との見方を示している。韓国開催の試合で今回も繰り返された横断幕騒動に、JFAは強い態度で臨むかどうかが見ものだ。