「安い牛丼」はもう食べられない! 中国の需要増で牛肉価格が高騰

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   輸入牛肉が値上がりしている。「吉野家」や「すき家」「松屋」といった牛丼チェーン大手にとって、材料費の値上がりは大きな痛手だ。

   牛丼チェーンは2014年4月の消費税率の引き上げなどにあわせて牛丼を値上げしたが、その影響もあってか客入りが芳しくない。「採算ギリギリ」との指摘もあり、厳しい状況に置かれている。

中国、香港や台湾経由で輸入増やす

中国の需要増で牛肉が高騰! もう「安売り牛丼」は食べられない?(写真はイメージ)
中国の需要増で牛肉が高騰! もう「安売り牛丼」は食べられない?(写真はイメージ)

   2014年4月の消費増税以降、吉野家は売上高、客数ともに前年実績を下回っている。すき家や松屋は、売上高は前年比を上回っているが、客数はすき家が5月と7月にはプラスに転じたものの、4、6、8月はマイナス。松屋も6月以降3か月連続でマイナスとなっている。

   消費増税に伴い、牛丼(並盛)は吉野家が300円、すき家は291円。松屋(プレミアム牛めし)は380円(いずれも、税込)に値上がりしたが、「(4月の値上げから)半年もたたないうちの再値上げはしづらいし、考えていない」(牛丼チェーン店)という。

   現状は、「(調達する牛肉の)必要な量は確保できているし、価格的にも利益を圧迫するほどではない」としている。

   とはいえ、米国産の輸入牛肉は値上がりしている。牛丼チェーンが使う米国産バラ肉(冷凍)の国内卸価格は、消費増税のあった4月に1キロあたり730~750円で、前月から15%上昇した。現在は1キロあたり800円程度とされる。前年に比べて3~4割高く、牛海綿状脳症(BSE)を受けた月齢規制が緩和された2013年2月以降の最高値を付けた。しかも、これから船積みされる輸入牛肉は、もう一段高くなる見通しという。

   牛肉が高騰している背景は、輸入(運搬)コストの上昇や円安の影響があるが、加えて、「中国の需給増」が指摘されている。

   農畜産物の需給調査などを行う農畜産業振興機構がまとめた7月の牛肉の輸入量をみると、豪州産は前年比22.4%減の2 万4000トン、米国産は35.3%減の1 万8000トンと、いずれも前年同月を大きく下回った。

   同機構は「米国産の規制緩和で、前年同月の輸入量が多かった反動がありますが、量的には安定しています」と説明。そのうえで、「牛肉の需要は世界的に増しており、需給はタイトになっています。たとえば、米国は消費大国でもあり、豪州産の輸入を増やしていますし、中国はBSE問題もあって牛肉の輸入を解禁していませんが、香港や台湾を経由して輸入するケースを増やしています」という。

   必ずしも全量が中国へ流れているわけではないが、米国農務省によると、米国から香港への牛肉の輸出量は2013年1~7月は7万4370トンだったが、14年1~7月は10万1295トンと、じつに36.2%も増えた。また台湾へは、14年1~7月に2万7024トンと、前年同期比9.5%増えていた。

中国「火鍋」人気で、日本勢は「競り負ける」

   牛肉の需給がひっ迫しつつある理由の一つには、米国で2011~12年に発生した干ばつの影響があげられる。その影響が現在も続いており、米国では直近の飼育牛が減少。供給が減っているところに、中国をはじめとした世界的な需要増が起こった。

   牛丼チェーンは当初、米国産牛肉の規制緩和が価格の下落につながるとみていたが、実際には輸入量は増えたものの、「火鍋」といわれる鍋料理の需要が高まっている中国が高値で競り落とすケースが目立つようになった。「(日本は)競り負けるケースが増えているようです」(農畜産業振興機構)。

   牛丼チェーン店も、「中国の影響がゼロとはいいませんし、(競争が)厳しくなっています。経済発展で、実際に中間層が厚くなって、需要を底上げしていますから」と話す。

   値上げにつながる話ばかりで、「定番」となっている牛丼の「安売り」キャンペーンも、もう期待できないかもしれない。

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