民主党が「民主党の存在意義」をテーマにパネルディスカッションを行うという珍しい試みが2014年9月28日、東京・永田町の民主党本部で行われた。若者と議員の交流イベント「民主党大学」の一環で、約250人が参加した。
パネルディスカッションには海江田万里代表(65)や漫画家の小林よしのりさん(61)が参加。海江田氏は「中間層の復活」を訴える一方、小林さんは安倍政権の右傾化や「ネット右翼」批判を展開した。
「今日もネット中継がなくてよかったと思っている。ネット中継があったら、おしまい」
小林さんは、ネット上で「安倍首相に賛成しておかなければ保守じゃない」といった「レッテル貼り」が横行し、自分の意見を表明したり、政策ごとに議論を深めることが難しくなっていることを問題視した。
「今日もネット中継がなくてよかったと思っている。ネット中継があったら、おしまい。安倍首相だったら全部(拍手を表す)8の字が並んで『パチパチパチ』になるけど、民主党の内部の議論をしようとすると、議論を聞く耳がない。『安倍首相に反対する会だろ?』という風に思えば、全部ネトウヨがバッシングしてくる。若いやつは、それが怖い。だから自分の意見を鮮明に言いたくない」
パネラーで「政治オタク」としてメディアへの露出が増えているタレントの春香クリスティーンさん(22)は、ネット利用には肯定的な立場だが、
「カテゴライズ(分類、レッテル貼り)をすることによって、『右だ』『左だ』と言われる。これで、さらに右と左の距離感が開いて、右と左の対話ができなくなる。そういった状態が一番もったいない」
と応じた。
海江田代表「自覚持った情報発信、ごく少数なのが残念」
小林さんが
「生で見てみて、生で声を聞いてみて、どのようなニュアンスか分かる」
と、対面で意見を交わすことの重要性に触れると、海江田代表が「僕はそれが一番言いたいんだよ」と割って入り、政治に関する議論をネット上で行うことは困難だとする持論を展開した。
「真面目に政治や社会を考えている人が、今までのマスコミや雑誌で発信できなかった人が発信できるということでは、わたしはその(ネットの)意味はあると思う。ただ、そういう自覚を持ってインターネット上で発信してくれている人がどれだけいるかというと、ごく少数だというのが残念なこと」
安倍内閣の女性閣僚は「『準男性』みたいな人たちばっかし」
海江田代表と小林さんは、アベノミクスや歴史問題に関する安倍政権の立ち位置に批判的だという点では共通している。特に小林さんは、自民党の「一人勝ち」が原因で国民がニヒリズム(虚無主義)に陥っているとも指摘している。
「『今の政権に任せておけばいいか』となっているから、相変わらず支持率だけは高い。女性大臣を少し増やすというだけで、(数字が)ガーンと上がる。あれ全部、女性かどうなのかも分からない、『準男性』みたいな人たちばっかしで、在特会とか色んなものにつながっているような、恐ろしげな女の人たちばっかり。海外では知ってるけど、日本では知らないからね、そもそも。マスコミが報道しないから。全部安倍政権に取り込まれてる。マスコミごと」
高支持率への違和感を口にしながら、民主党への期待感も示した。
「確かめないといけないから来たんですよ。海江田さんの顔色を見て、民主党が本気で代替案を出せる、自民党に代わるビジョンを出せる党になり得るのか。維新の会とか色んなの出てるけど、全然期待してないですよ。あれ、全部自民党の補完勢力だと思ってるから」