水蒸気爆発は予知が難しい
日本には110の活火山があり、47を常時監視している。しかし、そのうち08年3月から「噴火警戒レベル」を定めて手厚く監視しているのは 30。さらに、周辺自治体の避難計画が完備しているのは7つにすぎない。
富士山も桜島も御嶽山も、比較的手厚く監視されている火山の一つで、噴火警戒レベルが運用されていた。しかしながら今回、御嶽山は、半月前からの地震活動が活発になっていることは把握していたものの、ほかに噴火の前兆はなく、噴火警戒レベルは「レベル1(平常)」にとどまっていた。爆発後に「レベル3(入山規制)」に引きあげられた。なぜもう少し踏み込んだ予知ができなかったのか。
実は火山の爆発にはマグマ爆発と水蒸気爆発がある。マグマ爆発は地震や隆起の前兆があり、大きな動きなのでとらえやすい。半面、水蒸気爆発は、マグマの熱で付近の地下水が気化し、大量の水蒸気が発生して急激に圧力が高まって起きる。今回はその水蒸気爆発が起こったとみられ、爆発の威力としてはさほどではないが、予知は難しかったとみられる。
そうなると、いかに監視していても水蒸気爆発への対応は難しいということなのか。常時監視の47火山には「日本百名山」に入り、登山者に人気の山が少なくない。今回の御嶽山のように途中までバスなどで行けるので、素人でも簡単に上れる山もある。
御嶽山を含めても、現時点で警戒レベルが「レベル2(火口周辺規制)」以上なのは、活発な活動が続く桜島(レベル3)や、阿蘇山(レベル2)など8つのみ。活火山である限り、警戒レベルが低くても安心できず、今後も登山者が突然の噴火に巻き込まれるリスクは常にあるのかもしれない。