韓国の仁川で行われているアジア大会で、バドミントンの会場で空調が韓国に有利になるように設定されていた疑惑に続いて、大会運営をめぐる非難の声が続々とあがっている。
韓国以外の「アウェイ」チームに対する数々の妨害行為が疑われているほか、服装に関する規定が試合直前までチームに伝わらなかった末に参加を取りやめるといった深刻なトラブルもある。日本以外にも、中国やカタールのメディアも大会運営のあり方に疑問を投げかける事態になっている。
聖火消えるトラブルに「開幕2日目で、もう閉幕したのか」
大会は序盤からトラブル続きだ。大会は9月19日に開幕したが、翌9月20日には聖火が12分間にわたって消えるトラブルが発生。ネット上には「開幕2日目で、もう閉幕したのか」という皮肉の声があふれた。
翌21日には、射撃とフェンシングの選手に配るはずだった弁当からサルモネラ菌が検出され、76個を廃棄。代わりの弁当の手配が間に合わず、軽食で済ませ、空腹状態のまま試合に臨んだ選手もいたようだ。日本が韓国に敗れたバドミントンの会場で「空調で風向きを操作した」という疑惑が起こったのも、同じ21日だ。
このバドミントンの件を大きく報じたのは日本だけだったが、その後もトラブルが続出。中国メディアも大きく取り上げている。
例えば広州日報は9月24日、運営の不手際をまとめた特集記事を掲載。バドミントンの件をめぐる日本メディアの動向を報じながら、それ以外のトラブルについても、
「馬術や野球の会場でも、苦情が聞こえてくる。ホーム(韓国)側に対する待遇が良いのに対して、アウェイ側の選手団はシャトルバスが来るまで2時間も待たされたり、いきなりドーピング検査が行われたりした」
と指摘した。
ロイターは「大会は『多様性はここに輝く』というスローガンのもとに運営」と皮肉
トラブルは中東にも飛び火した。9月24日に行われたバスケットボール女子では、イスラム教徒の女性が髪を覆う「ヒジャブ」の着用が認められなかったとして、カタール代表がモンゴルとの試合を放棄。翌25日の対ネパール戦も放棄し、カタールはこの種目の大会参加を取りやめた。
国際バスケットボール連盟(FIBA)が、ルールでアクセサリーなどの着用を禁じており、ヒジャブもこれにあたると解釈されたことが原因。だが、試合直前までヒジャブの着用禁止がチームに伝わらなかったことで問題が大きくなった。
カタールの衛星テレビ局、アル・ジャジーラもロイター通信の記事を掲載する形で、ニュースサイトで大きく報じた。その内容は、
「カタールは第17回アジア大会の残りの試合に参加しないことを決めた。この大会は、『多様性はここに輝く』というスローガンのもとに運営されている」
といった、かなり厳しい皮肉交じりのものだ。
アジア大会の会期は10月4日まで。まだ1週間ほど残っているが、さらにトラブルが起こる可能性もある。