ノーベル物理学賞の有力候補 理研の十倉好紀さんはどんな人?

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   アメリカの情報調査会社トムソン・ロイターは2014年9月25日、ノーベル賞の有力候補とも言える「トムソン・ロイター引用栄誉賞」受賞者27人を発表した。

   日本からは物理学賞で理科学研究所・創発物質性科学研究センター長の十倉好紀さんが選出された。

国内外の物理学賞を受賞

ノーベル物理学賞の期待がかかる(提供:理化学研究所)
ノーベル物理学賞の期待がかかる(提供:理化学研究所)

   十倉さんの選出は「新しいマルチフェイロック物質の発見」の功績が評価されたためだ。マルチフェイロック物質とは強磁性、強誘電性などの複数の性質を持つ物質で、研究の応用、実用化が進むと電力消費の少ないコンピュータの開発などにつながることが期待される。

   同賞は各分野で論文引用数が多い上位0.1%に入る研究者から、ノーベル賞の傾向などを加味して選出されるもの。毎年9月に発表され、今回で13回目を迎えた。昨年までで、医学生理学、物理学、化学、経済学の4分野211人が選ばれ、そのうち35人がノーベル賞を受賞している。

   十倉さんは過去に超伝導に関する研究で受賞しており、1人の研究者が違うテーマで選出されるのは初めてだ。

   1954年兵庫県生まれの60歳。東京大学工学部物理工学科を卒業、同大学院工学系研究科物理工学を終了した工学博士だ。同研究科の教授を務め、国内外のさまざまな物理学賞を受賞、2003年にはこれまでの功績がたたえられ、紫綬褒章を受章している。

学生と一緒にテニスをする姿も

   13年4月からは理研の創発物質性科学研究センター長を務めている。自身の研究だけではなく、センター全体のマネジメントも行う重要なポストだ。

   東京大では今も教鞭を執る。研究室のホームページでは、十倉さんの誕生日会や軽井沢でのテニス合宿の様子を見ることができる。学生からプレゼントをもらったり、一緒にテニスで汗を流したりする姿からは、学生から慕われていることが伝わってくる。

   今回の受賞にあたり、「新たに頂いたトムソン・ロイター引用栄誉賞をビタミン剤に今後も一層研究に精進したいと存じます」とコメント。「(受賞した)研究は開始して10年余になりますが、現在は、より広く『トポロジーと磁性』についての研究へと発展中です」としている。

   日本人でこれまでノーベル物理学賞を受賞したのは6人。湯川秀樹、朝永振一郎、江崎玲於奈ら、いずれもそうそうたる顔ぶれだ。理研の小保方晴子さんのSTAP細胞研究をめぐる不正疑惑に揺れた日本の科学界において、十倉さんのニュースは明るい話題だ。今年のノーベル賞の発表は10月6日から始まる。

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