「アベノミクスの3本の矢のうち1本目と2本目は評価できる。しかし肝心の3本目の成長戦略はどうなるかは疑問符が残る。成長戦略の効果がないと見る外国人投資家の中にはアベノミクスに対する失望感も出ているし、日本売りに転じることを心配している」
オリックスの宮内義彦シニア・チャーマンは2014年9月18日、BSジャパン「マゼランの遺伝子」のインタビューで、こうアベノミクスについての印象を語った。
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は2012年9月から続けてきた米国債など追加証券購入を停止することを決めたが、緩和終了後も相当な期間にわたり事実上のゼロ金利政策を続ける姿勢を示した。これを受け、米ニューヨーク株式市場は再び勢いを取り戻し、米国経済の先行きに安心してドル買いが先行して、円の対ドル為替相場も108円台に急落した。しかし宮内氏は「円安は必ずしも輸出増につながっていない」と指摘、アベノミクスの第三の矢の不透明さと合わせ日本経済の先行きに懸念を示した。
規制改革の遅れにいらだちも
宮内氏は安倍政権の規制改革について「ある程度の進展はみられるが既得権益の城を与えられて頑として動かない勢力もいる。規制改革でマーケットの市場競争を促すことが日本経済に成長のチャンスをもたらす」と述べ、規制改革の遅れにいらだちも示した。ただ、オリツクスの業績は順調で「利益をひたすら追う事でなく、社会にプラスになることをしてゆけば利益も残る」と強調した。
長谷川洋三 Yozo Hasegawa