テスラが高級EV「モデルS」の納車開始、「日本の心が組み込まれている」

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   米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズは2014年9月、日本国内で高級EVセダンの「モデルS」の納車を始めた。

   テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は日本を「米国や中国に次ぐEV市場に成長する」とみており、テスラは米国中心の販路を拡大するため、まずはモデルS投入で日本市場の開拓を狙う。

スポーツカー並みの性能

ど真ん中に「日本の心」(画像はテスラ・モーターズのホームページ)
ど真ん中に「日本の心」(画像はテスラ・モーターズのホームページ)

   モデルSはパナソニック製のバッテリーを搭載し、1回の充電で約500キロを走れる。国内でも日産自動車や三菱自動車がEVを販売しているが、1回の充電で走れるのは最長200キロとされており、走行距離の差は歴然だ。

   さらに注目されるのは走行性能の高さだ。最上位車種は400馬力超で停止状態から時速100キロまで4.4秒で加速し、スポーツカー並みの性能を誇る。それだけに価格も823万円からとなっている。

   車内はコンソール中央に17インチのタッチスクリーンが配置され、音楽再生やエアコン、ルーフパネル、地図表示などを操作する。ソフトウェアはネット接続して常時更新されており、今回の納車時に備わっていないナビゲーション機能も今後2~3か月以内に追加される予定だという。

   テスラは9月8日に東京・六本木ヒルズで納車式を行い、これに合わせて来日したマスクCEOが9人のオーナーにカギを直接手渡した。最初にカギを受け取ったのが、テスラが提携してバッテリー供給を受けているパナソニックの山田喜彦副社長だった。

   2008年のリーマン・ショックで資金繰りが悪化した際、パナソニックからも出資を受けて窮地を乗り切っただけに、マスクCEOは「バッテリーはEVの心臓部であり、日本の心がモデルSに組み込まれている」と述べ、日本との縁の深さをアピールすることも忘れなかった。

日本人のEVへのイメージを覆すかも

   米国では2012年に発売されたが、日本での納車が遅れたのは「右ハンドルにしなければならず、(パネル表示などの)日本語対応も必要だった」からだと説明した。

   また、テスラは納車式会場の六本木ヒルズに隣接するホテル「グランドハイアット東京」の車寄せに設置した急速充電器「スーパーチャージャー」も公開した。マスクCEOは「モデルSオーナーは日本のどこでも旅をしてもらえ、スーパーチャージャーを無料で利用できる」と強調。全国で充電インフラを整備することに言及したことで、日本市場に本格参入する考えを示した。

   マスクCEOは6月、テスラ保有の特許を公開すると表明したが、背景には世界でEVのシェアが伸びないことへの危機感がある。日本でも走行距離の短さや充電インフラ整備の遅れがなどネックとなり、シェアを拡大できないままだ。

   しかし、テスラが日本に本格参入したことで、スポーツカーに匹敵する高性能なモデルSが日本人のEVへのイメージを覆すかもしれないと業界の関心も高まっている。さらにエコカーの中でハイブリッド車が幅を利かせる日本市場を開拓できるかどうかは、テスラにとっても今後の世界展開に向けた試金石となるだけに、その売れ行きも注目されている。

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