矛先は週刊文春の「売国」という表現にも向けられる
矛先は、自らが執筆している週刊文春にも向けられた。「売国」という表現は行き過ぎで、批判には節度が必要だという主張だ。
「一連の批判記事の中には本誌を筆頭に『売国』という文字まで登場しました。これには驚きました。『売国』とは日中戦争から太平洋戦争にかけて、政府の方針に批判的な人物に対して使われた言葉。問答無用の言論封殺の一環です。少なくとも言論報道機関の一員として、こんな用語を使わないようにするのが、せめてもの矜持ではないでしょうか」
最後に、朝日批判を自社の勧誘に用いる手法にも苦言を呈した。
「これを見て、批判は正しい報道を求めるためなのか、それとも商売のためなのか、と新聞業界全体に失望する読者を生み出すことを懸念します」
産経新聞は、9月下旬に「産経 史実に基づき報道」と題したビラを配布している。表面には阿比留瑠比・政治部編集委員による朝日新聞批判の文章が載り、裏面には、過去に産経新聞が吉田証言や河野談話を疑問視していたことを示す記事が掲載されている。ビラ裏面の4割弱が、「7日間無料お試し読み受付中!」といった新規購読を呼びかける広告で占められている。
新聞業界ではこうした指摘をうかがわせる動きがほかにも出ている。ただ、池上さんは具体的な社名は挙げていない。