買ったばかりのiPhoneを「業者」に手渡し
そして開店。1番乗りの「おばあちゃん」も無事、iPhoneを2台購入して外に出てきた。すかさず青い上着を来た男性が近寄る。次のシーンでは、iPhoneが入った袋はなぜか男性が持っていた。何が起きたのだろうか。
ほかにも購入者に言葉をかける男や、iPhone入りの包みが詰め込まれた大きな手さげ袋が映し出される。その「種明かし」ともいえる映像が次に流れた。ある人が、買ったばかりのiPhoneを「業者」に手渡しする、相手は中身を確認し、「金額」を書いたと見られるメモを見せる、最後はiPhoneを買い取るために札を数える――。「転売」の一連の行動を連想させるものだ。こうした「交渉」は、路上のあちこちで映されていた。動画は、「この手の商売は誰にとってもよくないと思う」というネイスタット氏のメッセージで終わる。
日米以外に香港でも、「転売屋」らしき姿が目撃されていた。9月19日付の米ウォールストリートジャーナル電子版は、香港中心部にあるアップルストアの外で、大きなスーツケースを持った数人が金銭を数えていたと報じた。特にゴールドモデルの「6 Plus」に関心を寄せていたそうだ。
海外で次々と新型iPhoneを手に入れた業者が、今度は中国への持ち込みでトラブルを起こしているという。「税関で大量のiPhone6が、密輸の疑いで当局に押収された」といった現地発のニュースも入ってきた。一方で、中国国内では既に高額でiPhoneが売られているとの報道もある。
中国では、高額所得者の証としてiPhoneを持つことがある種のステータスで、金に糸目をつけない富裕層もいるという。だが、こうした動きに眉をひそめる向きもある。中国留学の経験がある男性に聞くと、日本在住の中国人留学生のなかには今回の転売騒動を耳にして「同じ中国人として恥ずかしい」との批判が少なくないようだ。また、取材に応じた中国広東省在住の中国人男性は、「ほかのスマートフォンを使ったこともあるが、iPhoneはより高品質で動作が安定していると感じる。ぜひiPhone6が欲しい」と話す一方で、転売により流れ込んできた「密輸品」を買う気は全くない。