医療やショッピングなど日常生活で実用化
「目的地への行き方やおすすめの観光スポットなど、駅係員が英語に限らず、外国語への対応を迫られていることから、様々な場面で対応できるよう音声翻訳アプリを導入した」(京急電鉄)
駅員はアプリが入ったタブレットの端末を使って外国人とコミュニケーション。英語だけでなく韓国語、中国語など27言語の翻訳機能が威力を発揮している。
政府はこの技術の精度を高めれば、医療やショッピングなど日常生活で実用化することが可能と見ている。例えば、医療機関で外国人の患者を日本人医師が診察する場合、ヘッドフォンなどウェアラブル機器を使い、患者が微妙な症状を医師に伝え、医師が病名や治療方法を的確に伝えるといったことが想定されている。ショッピングでも、外国人客の要望や好みが瞬時に店員に伝わり、きめ細かい対応ができるようになる。
多言語音声翻訳で世界の「言葉の壁」をなくす試みを安倍政権は「グローバルコミュニケーション計画」と呼んでいる。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに実現させ、「東京をショーケースとして、日本の技術を世界に発信する」という。これを受け、総務省は2015年度予算の概算要求で、「多言語音声翻訳技術の研究開発と社会実証」のため、21億円を新規で要求。NICT運営費交付金(277億円)と合わせ、産学官の連携で研究開発と実証実験を急ぐ方針だ。