中国の独禁政策は「外資たたき」なのか 自動車メーカーなど相次いで摘発

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

国民の不満への対応という側面も

   では、果たして「外資狙い撃ち」なのか。

   自動車関係の今回の摘発については、2010年以降、日本の公正取引委員会など日米欧の独禁当局が、競合他社と価格調整していたという同様の理由で、相次いで「クロ」認定して制裁を加えていた。このことから、「中国は独禁法の調査、適用判断など、まだ勉強途上で、海外で明らかになった今回のケースを格好の教材として実績を積んでいる」(日中関係筋)との見方もある。あるいは「独禁当局が経験を積み、外資も対象にできるほど審査などに慣れてきた」(法曹関係者)との見方もある。

   それでも、「外資たたき」の疑念はくすぶる。自動車など外資のシェアが高い分野が調査対象となるケースが多く、政府は国内業界の競争力を高めるため、外資に圧力をかけながら自国産業の保護、育成を狙っている可能性は高いと、多くの進出企業が懸念する。

   丹羽宇一郎前駐中国大使(伊藤忠商事前会長)は、摘発の対象となった製品やサービスは、半導体や自動車部品など先端分野だと指摘し、「外資をけん制し、時間を稼ぎ、その間に国内メーカーを育成しようという考えなのでしょう」(8月27日・日経電子版)との見方を示している。

   英エコノミスト誌は、発展改革委が昨年、外国企業のために働く弁護士を呼び出して、「我々の取り調べに対して異議を申し立てないように。従わなければ極めて厳しい罰則を科されることになるかもしれない」と警告したとして、「多くの多国籍企業は今なお『行政の恫喝戦略』に直面しているのが現実だ」と指摘している。

   同時に、発展改革委が独禁政策に加え、価格統制も使命としてきたことから、純粋な独禁政策ではないとの見方もある。例えば2013年の白酒の摘発は、市民からの高値批判に応えるためのものといい、一連の自動車関係の摘発も、「高価格」への国民の不満への対応という側面もあるというのだ。

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