LINEを夜中まで利用して睡眠不足に
実は小中学生のSNS利用を制限する動きは全国で広がっている。兵庫県多可町では7月から独自に「夜9時以降はSNSやりません運動」を実施中だ。町教育委員会によると、2013年、小中学生にアンケートを取った際、LINEなどによるいじめやけんかなどが報告された。保護者からも利用制限をしてほしいという声が上がり、学校やPTAと協力して運動をスタート。「あくまで呼びかけで、ルールや罰則はありません」と町教委は語る。
意外にも生徒から反発の声は少ないという。各校の生徒会が行ったアンケートでは、「21時は早すぎる」という不満もなくはないが、おおむね好評だったそうだ。背景には生徒たちの「LINE疲れ」も見られたと分析している。今後も継続する方針で、2学期以降には生徒自らルール作りを進める学校もあるという。
愛知県刈谷市はさらに厳しく、21時以降はスマホを保護者が預かる取り組みを4月から行っている。生徒がLINEを夜中まで利用して睡眠不足になったり、悪口を言ってトラブルになったりした生徒がいたため導入した。市教委によると、多可町同様「呼びかけを行うだけで、強制ではありません」という。
生徒からの反発も全くない訳ではないそうだが、「夜中にメールを返信しないですむ」と意外にも肯定的にとらえられているという。今後も呼びかけは続けるが、こちらも生徒たちが自主的にルール作りをするようになった学校もあるそうだ。
警察庁のまとめによると、2013年に交流サイトを利用して犯罪被害にあった児童数は1293人で、前年と比較して約20%増加した。LINE上のトラブルがきっかけで、広島県呉市の少女が殺害された事件も記憶に新しい。
文部科学省は学校に携帯電話を持ってくることを原則禁止する通知を出しているものの、SNSの利用制限については注意にとどまる。そのため、各地域によって取り組みはバラバラだ。しかし刈谷市に続いて、愛知県内では利用制限を進める地域が増えており、今後も全国的にSNSの利用制限は広まっていきそうだ。