米アップルが音楽配信サービス「iTunes」を通じて世界的ロックバンド「U2」の最新アルバムを無料配信する大サービスを行ったところ、ユーザーから苦情が殺到するという想定外の事態が起きてしまった。
同アルバムはユーザーの設定によっては自動的に端末にダウンロードされる仕組みになっていたため「欲しくない」「邪魔」といった声が相次いだのだ。
当初は「iCloud」から削除できず
アップルは2014年9月10日、日本を含む世界119か国の「iTunes Store」でU2の5年ぶり新アルバム「Songs of Innocence」(全11曲)の無料配信をスタートした。U2自らが前日のiphone6発表会に登場して発表したスペシャルキャンペーンで、10月13日 (日本時間14時15時59分)まで無料でダウンロードすることができる。
お金は「アップル持ち」で、米ニューヨーク・タイムズによればキャンペーンのために支払った金額は1億ドル(約107億円)という。それでも利用者に喜ばれると考えた大プレゼント企画だったが、思いがけず苦情が寄せられることとなった。
アップルはダウンロードを一定期間無料にするのではなく、ユーザーがダウンロードを希望するしないにかかわらず自動的に配信する方法をとった。そのため、データ保存サービス「iCloud」を使ってiTunes上の購入曲を自動的に端末にダウンロードするよう設定していたユーザーは、購入した覚えのないU2のアルバムが突如自分の端末に追加されたことに驚くこととなった。
ダウンロードされれば端末の保存容量が減ってしまう。ところが削除しようと思っても曲を「隠す」ことしかできない。「iCloud」上から完全に消すには「iTunes Match」という年間3980円の有料サービスに登録しなければならなかった。
そのためインターネット上にはこれを非難する声が続々と寄せられた。日本の「iTunes Store」で同アルバムのレビュー欄をみてみても「なんと!U2のニューアルバムが無料ダウンロード!信じらんねー!」「間違いなく彼らの最高傑作!」といったファンからの喜びの声も少なくないが、「いくら無料とはいえ興味のないものが勝手に入ってくると正直迷惑です...」「勝手に配信したくせして消せねーし、消すのに金かかるとか詐欺レベル」といった声も数多く寄せられていた。