マイクロソフト(MS)は2014年9月4日、家庭用据え置き型ゲーム機「Xbox One」(エックスボックス ワン)を日本で発売した。Xboxシリーズの3代目だが、過去2機種はあまり売れなかった。家庭用ゲーム機市場全体が縮小する中、どう巻き返すのか。
「One」は、前機種「Xbox 360」以来、約9年ぶりの投入となる。処理能力を約8倍に高め、迫力あるゲームを楽しめるのが特徴だ。「360」発売時の約4倍に当たる30本のソフトを用意。欧米では13年11月に発売済みで、販売台数は今年4月時点で計500万台を超えている。
「スカイプ」や、自宅で本格的なカラオケができるアプリを用意
ゲームを主軸にしつつも「ゲーム以外のエンターテインメントや、生活をより豊かにするようなアプリケーションも提供できるプラットフォームになっている」(日本MSの泉水敬執行役)のも特徴。音声通話ソフト「スカイプ」や、自宅で本格的なカラオケができるアプリを用意。音声や体の動きで操作できる入力装置「キネクト」の機能も強化した。同じ画面で、ゲームをしながら映画を観たり、テレビを見ながら友達と音声通話をしたりすることも可能だ。価格はキネクト機能付きで4万9980円(税抜き)、なしが3万9980円(同)。
ゲーム情報誌「ファミ通」の推計では、過去2機種の国内累計販売台数は約210万台。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション3」(PS3)、任天堂の「Wii」はそれぞれ1000万台規模を販売している。ライバル機に比べ、劣勢は明らかだ。
スマホ向けのゲームに対抗できるのか
不振の要因は、日本人に合ったゲームを出せなかったこと。欧米ではリアルな表現の戦争ゲームなどが人気だが、日本ではあまり受け入れられなかった。そこでMSは日本の中小ゲーム開発会社にも開発ツールを提供し、「日本発のヒット作」を生み出そうともくろんでいる。
ただ前機種が出た8~9年前とは、市場環境が大きく異なっている。市場全体が縮小しているのだ。例えば13年11月発売のソニー「PS4」は、歴代最速で世界販売台数が1000万台を突破したが、国内では14年2月の発売から半年で66万台しか売れていない。任天堂「Wii U」も、発売から1年8カ月で188万台だ。「Xbox」が楽に戦える環境ではない。
この間、台頭してきたのは、手軽に楽しめるスマートフォン向けのゲームだ。
コンピュータエンターテインメント協会の「2014CESAゲーム白書」によると、2013年のスマートフォン向け「ソーシャルゲーム」の市場規模は3591億円で、2年前の約10倍に急成長。一方、携帯型ゲーム機を含めた家庭用ゲーム機の市場規模(ハード、ソフト計)は4095億円で、2年前から18%減った。
スマホのおかげで、ゲームを楽しむ初心者層が広がっているともいえる。初心者層を、どうゲーム専用機に誘導するか。MSだけでなく、ゲーム機メーカーに突きつけられた共通の課題だ。