1社だけ投資を「即断即決」したのが、アリババだった
一方、毎年発表されている米経済誌のフォーブスの「世界長者番付2014年版」によると、ソフトバンクの孫正義社長は資産184億ドル(約1兆8400億円)で、世界第42位、日本人ではトップだった。13年の2倍以上で、米携帯電話3位のスプリント社の買収によってソフトバンク株が上昇したことが貢献した。
2013年はファーストリテイリングの柳井正会長が日本人トップだったが、順位が入れ替わった。
アリババの上場で、ソフトバンクが得られる含み益は増えるだろうから、孫社長にしてみれば、日本一の富豪の座を固めたといってもいいかもしれない。
じつは、アリババに出資した理由について、孫社長は2014年5月に開いた14年3月期の決算発表のときに吐露していた。
孫社長が出資した当時、もちろんアリババは無名だ。孫社長は2000年に中国を訪れ、現地のベンチャー企業約20社のトップと会談した。その中で1社だけ、「即断即決」で投資を決めたのがアリババだったという。
アリババの創業者であるジャック・マー氏の印象を、孫社長は「数字をみせてもらったわけでなく、プレゼンテーションの資料があったわけでもない。言葉と目のやり取り。彼の目つきは動物的臭いがした」と話した。
アリババの上場でソフトバンクの企業価値は高まり、自身の資産をも増やすことになった孫社長の「眼力」には脱帽である。