人気コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」の一部店舗に1杯約2000円の高級コーヒーがお目見えした。
希少性の高いパナマ産ゲイシャ種のコーヒー豆を専用機械で抽出するもので、1杯あたりの価格としてはスターバックス史上最高という。発売初日の2014年9月17日昼過ぎ、J-CASTニュースの記者もさっそく試してきた。
価格は通常ドリップコーヒーの6.6倍
今回の新商品「パナマ アウロマール ゲイシャ」は、世界の希少で個性的なコーヒーを期間、店舗、数量限定で提供する「スターバックス リザーブ」の新ラインアップとして登場した。日本と北米のみでの提供で、日本では全国48店舗のみの取り扱いとなる。
使用されている「ゲイシャ種」はエチオピアを起源とする野生品種。栽培が難しく収穫量も少ないことから貴重な品種とされ、パナマ産ゲイシャ種は「スペシャルティコーヒー」と呼ばれるカテゴリーの中でもとりわけ人気を博している。
その希少性から「パナマ アウロマール ゲイシャ」の価格は、豆売りが250グラム1万800円と高額だ。2012年に販売されていたコスタリカ産のゲイシャ種が226グラム6000円だったことを考えると、同じゲイシャ種でも差は大きい。
1杯の価格は抽出方法で異なり、コーヒープレスの場合は1782円、「クローバー」という専用コーヒーメーカーの場合は1998円(ショートサイズのみ)にもなる。クローバーの価格は通常のドリップコーヒー(ショートサイズ)の約6.6倍。コーヒー一杯としては気軽に楽しめる価格ではない。
インターネット上でも話題になる中、記者は取り扱い店舗の1つ「銀座マロニエ通り店」に足を運んだ。東京・銀座エリアで最も大きい店舗で、昼過ぎの店内はスーツ姿の男性や買い物袋を手にした女性などで賑わっていた。入口からすぐのところにはゲイシャをPRする看板があり、レジに並ぶ客らは興味深そうに眺めていた。
記者より前に並んでいる客で頼んでいる人はいないようだったが、意気込んでクローバーのゲイシャを注文。専用コーナーに移動すると、挽いたばかりの豆の香りを確認させてもらうことができ、甘く華やかな香りが漂った。
女性店員はクローバーを操りながら「ゲイシャはジャスミンを思わせる香りで、ネクタリン(桃の仲間)やパッションフルーツのような風味が特徴です。他ではゲイシャ種の香りを際立たせるために浅煎りにしていることが多いですが、スターバックスではバランスを考えながらしっかりローストしています」と説明してくれた。
フルーティー&透明感、ドリップとの差は歴然
待つこと数分。ついに約2000円のコーヒーが専用カップに注がれて目の前に現れた。一口飲むとフルーティーな香りがいっぱいに広がった。他店でゲイシャ種を飲んだことがないためスターバックスならではの特徴や違いは分からなかったものの、雑味もなく透明感があり、爽やかな印象だった。
ネット上では「味の違いわかる自信ない」「味音痴の僕でも違いがわかるかな」という声も少なくなかったが、コーヒー初心者でも違いは十分に感じられるともののようだった。同店では開店から15時ごろまでに約50杯のオーダーがあったといい、評判も上々のようだ。ツイッターにもさっそく飲んできた人たちから「香りもいいし、確かに美味しい」「味は酸味が少しあり後味スッキリでした」といった感想が寄せられている。
2000円あれば贅沢な昼食が楽しめるが、コーヒー愛好家の価値基準はさまざまだ。スタバの価格設定から受ける印象も人それぞれのようで、
「値があるかと聞かれたら、めったに来日しない海外アーティストの為に高いチケット代払って武道館まで観に行ったら期待通りいいライブだったような感じ、と答える」
といった意見もあった。
ちなみに1杯2000円のコーヒーを提供するチェーン店はあまり例を見ないが、個人経営のコーヒー専門店であればそれほど珍しいことではない。たとえば「珈琲を飲む為だけの店です」という張り紙で有名な東京・上野の「ウエスタン北山珈琲店」は2000円以上のメニューがあり、スタバの話題に合わせて
「スタバのコーヒー2000円のやつ飲むくらいならこっちまた行きたいな」
「2000円か、、、。俺だったら上野にある北山珈琲店に行くな」
といったファンの声がちらほら上がっている。また、大阪の八尾市にある「ザ・ミュンヒ」にはスプーン1杯1500円というコーヒーがあり、1杯(40cc)は7万5000円にもなることからテレビ番組でも取り上げられることもしばしばある。