「必要なのは住民の意志と国際社会の承認」日本の承認いらない??
毎日新聞1999年1月1日付の記事では、日本政府の独立に関する公式見解を紹介していた。97年2月の衆院予算委員会で、社民党の上原康助議員(当時)が、もしも沖縄が独立する場合にどのような法的措置が必要かを質問した際、内閣法制局・大森政輔長官(同)が答弁したものだ。「一応、純粋に法律上の一般論」と断ったうえで、
「独立という言葉は法律的に申し上げますと、我が国の憲法をはじめとする法体系が排除され、現在の憲法秩序とは相いれない事態になる。言葉を換えますと、現行憲法下では適法にそのような行為はできないのではなかろうか」
と説明したという。
「琉球独立への道」などの著書がある龍谷大学の松島泰勝教授は、週刊誌「アエラ」2013年6月24日号のインタビューで、こう答えている。
「独立に必要なのは住民の意志と国際社会の承認だけで、日本の承認はいりません」。
仮に沖縄で、スコットランドのような住民投票が行われて独立賛成が多数派を占め、国際的にも国として認められればそれで十分というわけだ。日本からの分離独立は「現行憲法下では適法にできない」と政府が考えている以上、話し合いで「円満解決」を目指すか、強引に独立を推し進めて「武力衝突も辞さず」という構えを見せるか、ということになるのだろうか。
松島教授は著書の中で、もともと独立国だった琉球が1879年に日本に併合され、太平洋戦争後の米軍統治を経て1972年に「復帰」した際も「住民投票という正式な手続きを経て実現したものではない」とし、米軍基地を押し付けられている現状から「琉球は日本の植民地である」と位置付ける。
一方、国連は1960年に「植民地と人民に独立を付与する宣言」を採択した。「外国による人民の征服、支配および搾取は基本的人権を否定するもので、国連憲章に違反し、世界平和と協力の促進にとっての障害である」とし、独立を果たしていない地域の人民が「完全な独立と自由を享受できるようにするため......すべての権力をこれらの人民に委譲する迅速な措置を講じなければならない」と記述されている。多くの国々がこの宣言に基づいて独立を果たした。「日米の植民地である琉球の人民も、独立する権利(自己決定権)を国際法で保障されている」と主張する。
沖縄の分離独立は、現時点で大きなうねりとなっているとは言えないが、2014年9月12日付の毎日新聞では、スコットランド独立の動きになぞらえてこう警鐘を鳴らしている。
「基地問題で不満が高まる沖縄を抱える日本とても人ごとではない」。