熟練技術者が減少したことが背景にあるとの見方も
ただ、ある製鉄業界関係者は「建設当初は50年ぐらいが寿命だと言われていたが、その後、補修技術が高まり、寿命は延びている」とする。新日鉄住金自身も老朽化が原因との指摘は否定する。だが、製鉄関係者の中には「補修技術で何とか長生きさせているというのが実態で、施設が古くなれば、さまざまなトラブルが生じる可能性は必然的に高まる」とする。
バブル経済崩壊後の大規模なリストラや団塊世代の大量退職などで、熟練技術者が減少したことが背景にあるとの見方もある。新日鉄住金を含め、鉄鋼各社は十分に対応済みだとするが、完全否定できないも現実だ。
一方、「名古屋製鉄所の重大な位置づけが微妙に影響しているのでは」(業界関係者)との指摘もある。名古屋製鉄所はトヨタ自動車をはじめ自動車大手向けの重要な生産拠点で、鋼材供給が最優先とされる傾向があるとの見方だ。