安さ売りにした居酒屋、不振が際立つ 代表格「和民」は来客数が大幅減少

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居酒屋チェーンは「供給過剰」にある

   これまでワタミの屋台骨を支えてきた「和民」「わたみん家」などの総合型の居酒屋チェーンの主な顧客層は、サラリーマンや学生。ひと昔前に比べて仕事帰りに飲む機会が減り、また若者の「アルコール離れ」もあって、この層が縮小していることは否めない。

   さらに景気の回復基調で「プチ贅沢」志向が強まり、「安さ」が売りものにならなくなった結果、お客が専門性や利便性のよい、「新業態」の居酒屋に流れはじめたとみられる。

   日本フードサービス協会によると、居酒屋・ビヤホールの市場規模は、2013年は1兆96億円。しかし、11年は9928億円、12年は9780億円と1兆円を割り込んでいた。週刊ダイヤモンド(2014年9月6日号)は「構造不況に陥る居酒屋業態」の記事で、居酒屋業態はファミリーレストランよりも新店投資がかからないため、急速に店舗数を増やした一方、市場規模が縮小したことで、「供給過剰の状態にある」と指摘している。

   そんな背景から、ワタミは2014年2月以降、「和民」や「わたみん家」以外の「新業態」を出店。「今後、外食事業を成長させていくためには細分化されたお客様のニーズを捉えるべく、専門性を兼ね備えた業態の開発に取り組んでいます」としている。

   ワタミ初の本格中華「ワンズガーデン」を皮切りに、3月に炭火串焼き「炭旬」今宮店と和食カジュアルダイニングの「炉ばたや銀政」銀座数寄屋橋本店をオープン。4月はアメリカンレストラン「T.G.I.Fridays」名古屋店、8月にはイタリアン&スパニッシュの「GOHAN」東京・六本木店と、8月末までに立て続けに7か店を開いた。

   9月8日には「炉ばたや銀政」の2号店を六本木にオープン。11月には新宿店を開く予定。また、9月30日には「T.G.I.Fridays」大阪・梅田店を、10月には東京・茗荷谷に炭火串焼きの「炭右衛門」を開くことが決まっている。

   ワタミが展開する外食店は現在、11もの業態に分かれている。

   オープンした新業態の売り上げは、いずれも好調。ただ、いまも全体の9割弱を占める総合型の居酒屋チェーンに代わって、新業態が売り上げを伸ばすようになるには、まだ時間がかかるのかもしれない。

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