民法「大改正」120年の歴史で初めて 個人保証は原則禁止、敷金は借り手に返す

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認知症の高齢者が交わした契約は無効

   欠陥のある商品を買った消費者の保護も強める。例えば買った家の基礎工事の手抜きとかシロアリがついていたというように、購入前には気づかなかった欠陥(瑕疵)が後で見つかれば、売り手に救済を求めることはできるが、現行は契約解除か損害賠償しか請求できない。これを、修理や交換、値引きなども請求できるよう多様化し、消費者救済の道を広げようというものだ。

   部屋を借りる際の敷金は明文規定がなかったが、定義や返還の範囲をルール化。しばしばトラブルになる修理費用について、「借り主は経年変化に対する原状回復義務を負わない」と明記し、貸主に契約終了時に敷金を返すよう義務付けた。

   個人に関係するものではこのほか、認知症の高齢者が交わした契約は無効とする項目も新設する。

   中小企業に大きな影響があるのが個人保証の原則禁止だ。経営者本人の保証は例外として認めるが、議論になったのが、経営者以外の第三者保証。連帯保証人が多額の借金を背負って生活破綻に追い込まれることがあるため、法務省は全面禁止を目指したが、最終案では「公証人の前で『保証人になる意思がある』と宣言して公正証書を作成した人」は例外として認めた。

   想定されるのは家族が保証人になるケースなどで、「不動産など担保が十分でない中小企業の信用力を補う。過度に条件を厳しくすれば、その分、金利など融資条件が厳しくなりかねない」との中小企業側の懸念に配慮した形だ。ただ、第三者保証に伴う被害の救済にあたる弁護士などからは「抜け道」との批判も出ている。

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