民法「大改正」120年の歴史で初めて 個人保証は原則禁止、敷金は借り手に返す

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   契約のルールを大幅に改める民法改正の最終案が固まった。

   法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会が2014年8月26日、法務省がまとめた案を大筋で了承。来年2月の法制審の答申を経て、法務省は通常国会に民法改正案を提出する方針だ。

消費者と中小企業の保護を強化

   改正は約200項目に及ぶが、ポイントは消費者と中小企業の保護の強化だ。①法定利率を3%に引き下げた上で変動制導入、②欠陥品の対応多様化、③賃貸契約の敷金ルールの明確化、④中小企業融資で求められる個人保証を原則禁止――などを盛り込んだほか、カネの支払いに関する時効を5年に統一することなども打ち出した。ただ、インターネット取引などで使用される「約款」の効力の明確化は一部が反対したため議論を継続するとして、決着を先送りした。

   民法は計5編に分かれ、契約や家族関係に関するルールなどを規定しているが、今回変わるのは前半の主に契約に関する部分で、一般に「債権法」(債権関係規定)と呼ばれる部分。民法は1896年制定。2004年に文語体から口語体に、カタカナから平仮名に改めたが、中身に関する大きな改正は120年近くの歴史で今回が初めて。

   具体的に細かく見てみよう。まず、個人に影響が大きいのが法定利率だ。例えば税金の滞納、民事の損害賠償金の支払いが遅れたような場合の利息だ。ずっと5%に固定されていたが、遅まきながら低金利を反映して3%に引き下げ、さらに3年ごとに見直すとした。

   これは支払い遅延だけでなく、交通事故被害者らの逸失利益算定にも適用される。日本損害保険協会の試算では、例えば生涯の平均賃金が月額約40万円、妻と子供1人を扶養している男性(27歳)が交通事故で死亡した場合、遺族が受け取る損害賠償額は5560万円から7490万円に増えるという。賠償金は被害者が将来得られるはずだった収入の合計額から、法定利率に基づき、働けたはずの期間の収入の利息を差し引いて算出するので、法定利率が下がれば賠償金は増える計算。損保会社は支払う保険金が増えるので、自動車保険などの保険料は上がることになる。

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